乙女ケーキ

乙女ケーキ (IDコミックス 百合姫コミックス)

乙女ケーキ (IDコミックス 百合姫コミックス)

『百合』という一言でこのジャンルを分別してしまうにはあまりに狭量すぎる。


相思相愛であるが故の百合、死期が近付きかつての接点に縋ろうとする百合、一人の男を巡る三角関係から始まる百合。
様々な思惑が入り混じったそれはさながらケーキの具でありクリームでありスポンジとなる。
そうして一冊のケーキが完成。


プレゼントにまつわるエピソードでは相手のプレゼントを買おうとするも何を買おうかわからなくて選んでもらえば・・・
「わたしが選んだんじゃ意味ないじゃん!光っちゃんが私のために選んだものを渡してくれるその一瞬が大事なんじゃない!」
いい言葉です。それでその一瞬で互いの友情というものも感じられるわけですし。


他にもただベタベタするだけの話ではなく、皆どこかしらに何か背景とか影とかのようなものをもっていて(こんなところが嫌いだとか)
百合世界と言ってもこうしてみると非常に広義にわたるものであるなと。
さらには一回読んだだけではその話の意図もそのとき何故そのキャラはその行動をとったのかも難しく。
複数回読むにつれて次第にあれはこんなだったんだとか読むたびに発見があり。
一つのケーキをそれこそティータイムに堪能していたら夢中になっていつの間にか食べきってしまっていた。
まさにそんな作品でした。