僅か成る時間なれば耐え凌ぐも時がやって来た際の心の解脱を一層充足させるためには一興

よし今週終わった!
これで連休週に突入する!
案の定仕事中に意識は何度となく飛びかけたがなっ!
ってな日だったんですが、どうにも『待ち』が多くて苛立った日でもあり。
帰りは17時に出る準備万端なのに他がgdって30分後だったり、
本来ならばこの16日に発売するデンカレ白箱もKanozamaって届かず一日先送り。
まぁ前者はどうせ夏時間が終わればその時間でも早い範疇だし、
後者も発送通知自体は来たことを確認したので明日には届くだろうし。
とりあえずこの三日間はどうしたもんかな。
日曜は夜に家族飲みで焼き鳥屋がかなり前から決まってて、
月曜は夕方からZINでサイン会行ってくるのも決まってる。
土曜は・・・出かける予定はなかったのに、
書店委託で天帝の夏新刊出るってマジですか?
当日朝一で行っても入手できるかわからんぞ・・・

その恋は救いの手と成り得るか 『40センチの初恋』

赤面症な『りんごちゃん』ことりんこは、漫画好きなちょっぴりオタな小学生。

好きな作品のキャラと変われない自分に悩む中、一人の中年と出会うが・・・
芸能ニュース的にも最近盛り上がった歳の差恋愛。
最近は年齢差も二桁に到達するようなケースも珍しくなく、
特にそうした作品が増えてきた中、
19歳差、身長40cm差の変則シチュエーションが新たに誕生しました。
直近では21歳差の恋愛を描いたこれは恋のはなしがありますが、
それに近しい設定を備えていながらも、かなり違う展開が繰り広げられていますね。
同じ食材を提示された結果の料理が同じものとは限らない実例です。
と言うか、こんな設定が似ている作品が同時期に出ている現実もすごいです。
本作の場合、最終的に到達するのが恋愛感情とは言えども、
そこに至るまでは互いが互いの心の救いになるような、
相互依存的な人間描写の色が強いため、
あまり恋愛ものって考えずに見た方がしっくりくるかもしれません。

恋愛って観点だとこの年齢差は犯罪的であっても、
救済って観点だと年齢なんてものは関係ないって実感できますね。
交流を深めて親密になってゆくうちに、
人間として成長する様子に心動かされる本作です。
なお、カバー下ではボク×カノの番外編が展開されているので、
そちらが好きだった人は思わずニヤリとさせられることでしょう。


恋愛へと至る道はトラウマとの戦いの道となる。
確かに年齢差は19歳で、相手はまだ小学生と、
傍から見たらロリコンと言われても致し方ないようなその関係。

でも、これくらいの年齢差だからこそ、相手がまだ子供だからこそ、
世間のしがらみを知ってしまった大人では気付かないことを教えてくれることもあるんです。
主人公である小早川は、少女漫画誌の看板作家である人気作家なのですが、
自分の作品も含めて世の中全てに興味を失くした亡霊のような存在。
生活力は皆無で、売れる作品を描くためだけに生きているようなもの。
全ての発端となったとある事件があってから、ずっと目が死んでるんですよね。
死んだ魚でももっと生気のあるような目をしてるってくらいに。
情熱だけでは認められない、結果を残せなければ次はない。

世の中って難しいものです。
そうして誕生した『売れるため』だけの作品を、
心から愛し、感動してくれた純粋無垢なる心。
段々りんごちゃんに魅かれてきているからこそ、
最も知られたくない自分の正体と人間としての黒い部分。
知られてしまったからこそ、現実と正面から向き合わなければならないことへの決意。

ブコメの体裁を取っていながら、
予想だにしなかったヒューマンストーリーを垣間見ましたわ。
死んだ目が輝きを取り戻すくだりは何気に感動しましたよ。

成長することを止めてしまった男の再出発と、
これから色々なことを知ってゆくことになるであろう成長途上の少女。
ロリコンだとか年齢差だとか、そんなものじゃ推し量れない世界がそこにはありました。


オタと言う名の熱心的なファンのおにゃのこっていいよね。
まだ幼い年齢ってこともありますし、未だ漫画が趣味なお年頃でもありますが、
それだけでは済まないほどにりんごちゃんはスペック高かったです。
好きな作品のことを語りだすと止まらなくなるのは当然のこと、
小早川の作品が好きすぎてコスプレ衣装を自作してしまう11歳って・・・
好きこそものの上手なれなんてレベルじゃない。
作中では裁縫スキルの高さが飛び抜けてたけど、
友達が『いつもおいしいお菓子が〜』なんて言ってたり、
家庭科の成績は常に5をキープしてるなんて実績があったり、
実は料理とかそっち方面にも秀でてそうな予感が漂ってます。
そう考えると、何この嫁スキルのチートっぷりは!?
これで好きなんて言ってくれるんだからマジ天使じゃないっすか!
自作のコスプレ衣装を着て恥ずかしがってるところもひたすらに可愛かったし!

ラストの中学生になって身体的にも少し成長した姿もまた可愛かった。
と、そう思って見ていたら、このりんごちゃん、
最後の最後でとんでもない核爆弾を仕掛けてくれましたよ。
『今13歳だからあと3年』
法的に婚姻が認められる16歳になると同時に結婚するつもりか!?
りんごちゃん、恐ろしい子っ!

それ即ち自然界の掟 『CRIMSONS〜紅き航海者たち〜』 1巻

CRIMSONS 紅き航海者たち 1 (少年サンデーコミックス)

CRIMSONS 紅き航海者たち 1 (少年サンデーコミックス)

択捉島は得茂別湖。
そこに棲む若き紅鮭たちは、新天地を目指して海へと旅立つことになるのだが・・・

ぇーと、どこからどう見ても鮭です。
ええ、鮭なんです。
クリムゾンとは紅鮭の紅。
まかり間違っても『悔しいっ・・・でもっ・・・ビクンビクンッ』なクリムゾンじゃありません。
自然界を舞台として、様々な動物が人間のように動く話は色々ありますが、
題材的にもキャラ的にも非常に濃くてシュールな世界が出てきたものです。
確かによく考えてみると、魚を題材にした作品になると、
どうしても釣りがメインで、その中の知識として生態とかが語られるものばかりでしたからね。
陸と違って水棲生物は全容が明かされていないところもあるし、
題材として取り扱うのにも難しいからでしょうか、
色んな意味ですごい斬新すぎる内容ですね。
一生のうちに淡水と海水の両方を旅するその生態は、
自然界のみに限らず、世界そのものを知るにも近いものがあり、
非常に熱い展開の中にもアカデミックな切り口もあって、
シュールな見た目に反して非常に盛り上がれる一作でした。
想像以上に熱くなれる内容には、
むしろこっちが『悔しいっ・・・でもっ・・・ビクンビクンッ』ってなってしまいます。
クリムゾン的な意味で。


常に生きるか死ぬか、それが自然界。
一生を旅する鮭ですが、生涯はとにかく壮絶の一言に尽きます。
最終的に故郷まで帰り着くことができるのはほんの一握り。
海へと無事に到達できる数すら稚魚の頃のわずか一割。
ある者は急流に流され岩に激突し、またある者はえらにゴミが詰まって呼吸ができなくなり。
一匹また一匹と脱落してゆく中に現れる鳥と言う絶対的な捕食者。

最初からクライマックスすぎてヤバいです。
バトルものとすれば既にラスボスの居城で、
突入時に脱出時に仲間達が死んでゆくくだりですって。
そしてご都合主義など当然存在せず、死ねばそれまで。

メインキャラですらあっさりと死にかねないこの世界。
海に出たことで更なる脅威に晒されることになる今後は、
一体何が待ち受けていることになるのでしょうか。
と、自然界の厳しさを教えてくれる中にもちょっと和めるシュールな展開も。
毎回冒頭でちょっとしたモノローグが入るのですが、
語り手がミジンコだったりする罠。

出てきては食われたり押し潰されたり、不憫な役どころが逆に笑いを誘います。
しかもミジンコのくせに語りが妙に哲学的だったりするし・・・
生そのものに疑問を抱くわ、神は残酷だとか批判するわ。
こいつ、実は前世は人間だったりしたんじゃないんかね?


メインは鮭たちが生き残るための奮闘を描く内容ながら、
さりげなく登場する人間のキャラが何気に目を引きます。
それが海洋生物学の大沖教授とカナダ人留学生助手のクリスさん。

本編での鮭側からすれば生きるために必死なシーンであっても、
見ている側の教授側にとっては観察と研究の対象。
一転してのどかな風景で思いっきり対岸の火事すぎる。
まぁ人の手で介入してしまうと生態系を乱すことになりますからね。
しかしこの教授たちが登場することで、
鮭の生態について自然な流れで詳しく解説してくれてるんですよね。
と言うのは建前、実際のところはクリスさん可愛いってなるお時間です。
まだ留学生ではあるにせよ、立場的に助手に近いことや、名前がクリスって・・・
どこぞの未来ガジェット的なものを思い出さずにはいられない。
で、このクリスさんですが、最初から教授に対しての好感度がMAX状態で、
ことあるごとにアプローチして迫ってくるもんだから、
途端にラブコメ作品のフィールドを展開してしまう恐るべき能力を有しています。

露骨に告白同然の台詞ばっか連呼するんですからもうね。
案外教授も満更ではなさそうだけど、あくまで師弟関係としての理性で抑えてる感じかなー。

これは陥落するのも時間の問題ですぜ。
ただ、その想いが恋愛感情なのか否かが難しいところ。
クリスさん視点の番外編も収録されているのですが、
教授を父親と重ね合わせている節もありますからね。
何気にこっちのラブコメ展開も今後が楽しみです。