ただでさえ天使のうさちゃんがアイドルを目指すようです 『ANDOL』 1巻

ANDOL -えんどる-(1) (バンブーコミックスWINセレクト)

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歌うことが大好きで、しょっちゅう人間界にやって来ては、
カラオケで歌いまくることを楽しみとしていた天使の少女・うさ。
業績落ち目のプロデューサー・幸子と出会ったことにより、
アイドルの道を目指すこととなるのだが・・・

百合姫では多国籍ゆる系百合を描いた、
きものなでしこでお馴染みの八色氏が新たに送り出すは、
最近地味に盛り上がりを見せているようにも思われるアイドルもの。
昔まで遡ればアイドル伝説的なものとか、
定期的にブームの波がやって来ているジャンルであり、
モバマスにグリマスと、ソーシャルゲーによって熱気はピークに近い昨今、
アイドルものを出さないわけにいきませんね。

よく歌が上手い美声のことを「天使の歌声」と呼ぶことがありますが、
主人公がそのまま直球で天使ってあたりは非常に潔く、
人間ではない故に浮世離れした考えを持っていることによって、
時には黒い部分もあるであろう業界ものを日常コメディとして昇華しています。

基本は日常を楽しく眺める物語です、
業界仕事要素はモバマスくらいのものと思ってもらえればいいかと。
ビジュアルよし、声については言わずもがな、
でも他が色々と残念な天使は果たしてスターダムに駆け上がることができるのか。
若干の百合要素も含みつつ、今デビューです。
タイトルも「ANGEL」と「IDOL」の組み合わせで語呂もよくて覚えやすい上に、
どこぞのDQ4の最大の城下町っぽい


個性無くしては生き残れない、ならば濃い面子が集まるは必然。
モバマスもこれでもかってくらいに個性豊かなアイドルが多数登場しますが、
本作もまた当のアイドルからプロダクションの社員に至るまで、
強烈なインパクトを持った人たちでいっぱいです。
まともなキャラをしているのって幸子さんだけじゃなかろうか。
(天使の存在を受け入れてる時点でまともじゃないという話もあるが)
何と言っても社長が全てにおいて怪しすぎる。
うさちゃんが人間じゃないことを一目で見抜いてるし只者じゃない。
事務担当の由鶴さんも見た目は普通なのに、
言動の各所から漂う腹黒感が半端ない。
住民登録させるためにうさちゃんの戸籍をでっち上げるとか、
明らかに犯罪チックなことを平然とこなしてますからね。
それを指示する社長も社長だけど。
ちひろさんと言い、この世界の事務担当は黒くないとならないのでしょうか・・・
ダンスの専属トレーナーもおネエ系だしね。
しかしそんな中でも最も強いキャラ性を持ってるのはさすが主役のうさちゃん。
歌うこと以外は割りとどうでもいいって考えからして相当アレですが、
中途半端に人間界に馴染んでるために、
所々でとんでもなく認識外れな行動を取ったりすることがあって見ていて飽きません。
好物がドリンクバーってところもまた色々と何かが間違ってる。
こんな娘ですが、今回のラストで初ステージのときを迎え、
少しはプロ意識も目覚めるかと思ったらそんなことはなかった。

でも、不思議な感動があったなー。
仮にCVが付くとしたら、イメージ的に誰になるんだろう。
一体どんな声をしているのか想像してみるのも楽しいですね。


最近の天界事情も近代的!?
天使とは読んで字の如し天の使いであるはずなのですが、
神々しい何かを持っているのは神代の時代へと置き忘れてきたのか、
それとも人間界と同様に色々と技術発展しているのか、
異様なまでに現代に馴染みすぎです。
開幕からフリータイムドリンクバー付きでカラオケ行ったり、
デンモクの扱い方に慣れてたりする様子を見せてくれてますからね。
馴染んでると言うか俗っぽい。
うん、でもね、相当に敬虔な信者でもなければ神格的な偶像なんて、
今の時代にとっては過去の産物に過ぎないのかもしれませんね。
まぁそのへんの宗教的なところはさておき、
天使と言えば頭の輪っかですが、
これがまた異様なまでにハイテクの結晶だったりします。
テレビ電話的な感じで会話もできればCDも再生できる、
自動翻訳機能に四次元ポケット的な収納に早着替え、
挙句の果てにはマインドコントロールまで・・・

我々の認識で言うところの天界って、
実は22世紀の未来とかだったりするんでしょうか?
便利すぎて一家に一台欲しいぞこれ。