この夏休み、妹ができました 『琴浦さん』 4巻
- 作者: えのきづ
- 出版社/メーカー: マイクロマガジン社
- 発売日: 2013/02/22
- メディア: コミック
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新たなる波乱は突如として訪れ・・・
アニメ版が放送されるや否や、話題が話題を呼んで大反響。
単行本売り上げが放送前の数倍に跳ね上がったりと、
今期最大級のダークホースとして一躍時の作品となった本作。
原作版の方も負けじと話は第五部へと突入し、
コメディ部分もそこそこに安定の根底にある重厚な部分が見え隠れ。
本編の時系列では初登場となる父親と、
琴浦さんとは腹違いの妹になる絢香の二人を中心に、
家族とは何なのか、血縁とは何なのか、
色々と考えさせてくれますね。
毎度のことながら上げて落としてまた上げる展開に翻弄されてしまいますね。
でも数々の試練を乗り越えて人間的に少しずつ成長してゆく琴浦さんの姿は、
微笑ましくも思えるし嬉しくて泣けてきたりもします。
嗚呼、和尚様ってこんな気持ちだったんだなーと、
巻数が進むごとに親心みたいなものが芽生えてきますよ。
一方で毎回不憫な役回りがすっかり定着してる森谷さんは今回も・・・
変な髪形になっちゃって終始いじられっぱなしといいところなし。
表紙に出てきてるのがせめてもの救いとは言え、
そろそろ第一部でやらかしたことの贖罪は済んだんじゃないですかねぇ?
不幸な役どころが宿命だから仕方が無いのかもしれないけど。
たぶん今後もこんな扱いだけど強く生きてきそうですよね。
再会を果たした父と娘だが・・・
第五部のキモとなる二本柱の片方が父親との再会にまつわるエピソード。
母親の方とは未だぎこちない関係ながらも、
深く刻まれていた溝は少し埋まった状態とはなりましたが、
こちらについては全くのダークゾーン。
互いにどう思っているかも不明瞭だし、
離婚後に何年も経ってから唐突に呼び出したりして、
絶対何か裏があると思ったら案の定でした。
最初から自分の保身のために利用する気満々だし、
一言で言ってしまうとクズですねこの親父・・・
当初こそ表面上は取り繕って協力を促したりしてるのが、
仕事で自身が追い詰められてゆくにしたがってメッキが剥がれていって、
終いにゃついに体裁すらかなぐり捨てた感情に任せた虐待行為。
ラストのくだりで爺さんにも言われてるけど、
経営者としては優秀だったのかもしれないけども親としては最低です。
母親の方は多かれ少なかれ親としての愛情は持ち合わせていたのに、
この親父からはそれが全く感じ取れない。
そりゃ絢香もグレるよなぁ。
あまりのクズっぷりに琴浦さんもキレちゃうし、
母親以上に関係修復が困難なのは間違いありませんね。
しかしこのキレた場面の琴浦さんだけど、
剣幕とか蔑む目つきとかはさすが「あの」母親の娘、血は争えません。
東京で訪れる運命の出会い。
父親関連は色々と黒い部分ばかりが描かれる内容ではあるものの、
日常パートはしっかりとコメディってるのが本作。
後追いで東京までやって来たESP研面子と東京観光しつつ、
今回最大のポイントとなる絢香との出会いによって、
琴浦さんが今までと違った特別な想いを持つように。
親が何年も前に離婚しててその後再婚してるのであれば、
腹違いの妹がいても不思議ではないけれども、
やはり年頃になって突然妹がいた、姉がいたってなると、
戸惑いながらも色々と思うところがあるんでしょうね。
すっかり姉バカ状態になってしまうとは・・・
最終的には仲睦まじい姉妹関係となったけれども、
当初の素直じゃないツン状態だったところからここまで来るのに、
心が読めるという超能力が貢献しているという点は見逃せません。
かつてはそれが原因で家庭崩壊などの不幸を呼んでしまったけれども、
使い方次第では互いの距離を近付けることに役立つことだってある。
毒も気付けや殺菌などの薬として使用されたりもするし、
悪いことばかりじゃないという救いの道が開けたのは大きいですね。
そんな絢香ちゃんは妹可愛い。
初登場時はヒネた性格なのかなとも思ったけど、
親に甘えたい盛りの年頃であの家庭環境じゃ無理もない。
本心では姉が居た事実を嬉しがってるし、
デレた後は歳相応の妹ぶり全開で普通に可愛い。
ラストの展開によって今後も出番がありそうでよかったよかった。