現役JKの名プロファイリングが冴え渡る!? 『女子高生刑事 白石ひなた』 1巻
- 作者: 早坂ガブ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/02/18
- メディア: コミック
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ある日、殺人事件の現場でとあるキーワードをきっかけに、
殉職して心臓のドナーとなった元刑事の人格が覚醒し・・・
サンデーのクライムストーリーと言えば既に15年続いているコナンがありますが、
完全に取って代われるんじゃないかと思われるほどに、
本格的な犯罪捜査ものとして超新星の如く現れた本作。
タイトルとか表紙とかだけを見た感じだと、
萌え系を狙ったライトな雰囲気で、
刑事としての要素は付加価値程度に思っていたらそれが甘かった。
猟奇的描写込みで容赦なく死ぬ被害者にサイコ臭漂うシーンの数々、
数少ない状況証拠や心理描写から真実を突き詰めてゆくプロファイリング、
一筋縄ではいかない二転三転する展開と、
事細かに描かれたそれらは一気に話へと引き込む吸引力を持っています。
作中の捜査や犯人への追い込みも、
証拠を一つ一つ突き詰めてゆく探偵としての視点ではなくて、
犯罪心理をも重要な手がかりとする捜査官としての視点となっているのも、
よくある推理ものと一線を画しているところですね。
大筋のストーリーも自身を殺した謎の仇敵の存在が居たりと、
いつか辿り着くであろう対決の時も心待ちにしたくなるドキドキぶり。
推理小説でも刑事ドラマでも見られないような、
一風異なったクライムストーリーは今後も要注目です。
見た目はJK、頭脳は大人!?
何と言っても最大の特徴は主人公のひなたさんのモードチェンジ。
とあるキーワードを契機に刑事モードになってからのキャラの豹変が、
普段の普通の娘と全く違うギャップのある格好よさがあるんですねこれが。
このときの人格は心臓の持ち主だった敏腕刑事・拝田さんのそれになるため、
見た目によらずプロファイリングの描写の数々はひたすらにガチで綿密です。
いつもそれで犯人を特定して肝心なところで元の人格に戻って、
発狂した犯人に襲われてピンチになる展開がお約束なのですが、
華やかなJKキャラに危機が訪れる流れを組み込んでるあたりは、
その手の需要に対して押さえるところをしっかり押さえてますね。
しかして普段のひなたさんもか弱いなりに心の強さを持っていて、
移植手術前は死の淵を彷徨っていただけある重みのある言葉を投げかけてくれます。
まぁアレな状態になった犯人の耳には届かなくて襲われてしまうんですけどね。
と、そんなですから一人で全て解決できるものではなく、
相方のような存在が居るには居るものの、
これがまたドM気質の変態っぽい不良刑事ときたもんだ。
しょっちゅうナンパ行為に勤しむわ、
刑事モード時のひなたさんに踏まれて罵られたいだの言い出すわと、
まずこいつを逮捕するべきじゃないかと思ってしまうことも何度もあったりするほど。
が、実は普段の不真面目さも全て演技なんじゃないかってくらい謎が多いんですね。
暴れる犯人を事もなげに取り押さえたり、
意外なところで危機に駆けつけられる布石を持っていたり、
一歩間違えば自分も死ぬ状態での爆弾解体を実行したり。
実は警視庁よりももっと上、
拝田さんと同じFBIから潜入してるなんて可能性すら想像してしまいますよ。
この迷コンビによる掛け合いもまた魅力ですね。
犯罪とは黒いもの、それを追うことこそが捜査なり。
本作に出てくる事件は全て殺人事件のため、
毎回被害者の死体が出てきたりするわけですが、
ひたすらに生々しくも猟奇的なものばかりで意表を突かれます。
読み切り版の0話からしていきなりバラバラ&皮剥ぎですからね・・・
血だまりとシートからはみ出た手足だけでも相当にヤバいものがありますよ。
これをめくると人体模型みたいになってしまった仏がいると考えると、
ショッキングすぎてトラウマになるんじゃなかろうかと。
他にも眼窩から脳を刺されただの、爆死だの、
バットで頭部を滅多打ちだのと、
生々しくもビジュアル的にキてる代物が多いのがまたリアルと言いましょうか。
人間のみならず動物の死体なんかも出てきたりしますし・・・
ひなたさんは刑事モードになっていないときは普通のJKですし、
どこぞのツノが生えたKARATEマスターなLANねーちゃんではないので、
いつかPTSDにならないか心配になってきますよ。
このような事件の数々を如何なる動機で起こしたのか突き詰め、
犯人を追い詰めるのが本作の見所で、
その犯人がいい感じに狂った人ばかりなのもまた生々しい。
異常性癖に偏愛に過剰な自己中心的思考にと、
殺人を起こす時点でどこかイカれてしまっているのは確かとは言え、
正常な思考をしているのが一人も居ませんからね。
ちょっと犯罪心理学に興味が沸いて来たかも。