4年越しの想い、芽生えの時 『これは恋のはなし』 7巻

これは恋のはなし(7) (KCx)

これは恋のはなし(7) (KCx)

様々なトラブルを経て中学生となった遙たち。
校内で人気との評判と、恋人疑惑とで真一の心が揺れ動く中、
想いが決定的なものとなる事件が発生し・・・
21歳差というあまりにも険しい壁により、
親子のような関係から全く抜け出せない状況にやきもきしていた本作。
タイトルにも「恋」と銘打たれていただけに、
一体いつになったら恋愛感情の芽生えに発展するのかと思っていましたが、
作中の時系列では約4年、本作の刊行ペースでは約2年、
待ち望んでいた時がついにやって来ましたよ。

しかしそこは常に鬱一歩手前の重い展開続きの本作ですから、
関係が一歩前進しながらも易々と結ばれるわけもなく、
それがまたもどかしさを募らせてくれますね。
いよいよ話が終盤に差し掛かってきたと見るべきか、
それとも更なる困難へのスタートとなるのか、
益々軒並みならぬ展開に注目ですね。
前回電撃的に結婚を発表した大垣の、
そこに至るまでの経緯が描かれたエピソードも収録し、
通常のラブコメでは味わえない大人の恋愛も楽しめる今回です。


トラウマを払拭し、そして男は恋を知る。
開始当初の10歳だったころから年月は経ち、
13歳の中学生になったとは言え、
21歳差の年齢差だけはどうしても縮まることがないもの。
増して世間体を考えれば手なんて出せたものじゃありません。
ともすれば、何か決定的な事件が起こることが必要ですよね。
帯書きの時点からして真一に恋愛感情が芽生えることは露骨にわかりますし、
そもそもタイトルとか最初の頃から、
あくまでも恋の話であることは明言されていましたから、
いつかは結ばれるであろうことは示唆されていましたが、
今回「それ」がついに起こるというわけですよ。

これまで遙の身の回りに関する問題ごとが中心だったのが、
真一中心の問題にシフトしてきているのも大きいところ。
心中で親を失ったとか、そりゃ一生もののトラウマにもなりますよ。
スレたキャラにもなってしまうってもんだわ。
小火騒ぎとか普通に大事だったけど、
ショック療法的な効果もあったのかな。
火と共に差し伸べられた手は死への誘いから救済へと変わり、
自分の気持ちを自覚した真一は遙へその気持ちを・・・

って、キスだけかぃ!
ぃゃさすがに相手は中学生だからそれ以上は法的にヤバいですけどね。
と言うか、キスしただけで激しく罪悪感抱いて逃げ出す真一は何気にヘタレでした。
結婚できる年齢まであと3年、
その間抑圧された気持ちは時が来たら一気に解放されそうな気が・・・
何はともあれ親代わりとして接してきた今までから、
明らかに関係が一変した今後をどう乗り越えていくのか注目です。


周囲の人間関係に立役者あり。
ずっと黒幕的な感じで真一を動かしてきた大垣ですが、
今回は特に周囲のコントロールっぷりが際立ってますね。
前回詩子から告白されて7年待てとか言ってたくせに、
いきなり結婚するとか言い出すあたりからして・・・ねぇ?
しかも詩子の本当の気持ちを全て見透かした上で、
待ってるとか言うもんだからタチが悪い。
小説の編集者ともなると他人の気持ちを手に取るように理解するような、
そんな感受性とかも必要になるんでしょうかね。
当の結婚相手とのいきさつは番外編で描かれているけれども、
ここでも完全に人を食って見透かした言動ばっかりだし、
鬼畜眼鏡って形容が本当にピッタリだと思うんだ。

そしてこの番外編、本編とは違い大人と大人の付き合いということもあって、
「事後」のシーンがあったり・・・

ぉぅぃぇ。
一度だけの性交で結果的にできちゃった婚だし、
ある意味一番際どい人生生きてるんじゃなかろうか。
こういうタイプに限って子供ができた途端親バカになったり・・・しそうにないか。