君が居るだけで強くなれる気がした 『ディアティア2 -マイディア-』

ディアティア 2 マイディア

ディアティア 2 マイディア

多角化する関係のもつれもありながらも、
気持ちが通じ合い付き合うこととなった秋人と睦子。
不器用ながらに距離を縮める二人だったが・・・

切なくも心に響く描写をもって、
文字通り涙の数だけ強くなる恋愛物語から約2年。
待望の続編がついにやって来ました。
掲載誌の楽園が年3回刊行ということもあって、
まとまった形になるにはどうしても時間がかかってしまうため、
一日千秋の思いで待っていましたが、その思いは今ここに報われました。
今回は付き合い始めた二人の初々しさ溢れるストロベリーっぷりから、
前回とはまた異なった形での重い展開まであり。
「落として上げる」方式から、
「上げて落としてまた上げる」方式となったことにより、
ニヤニヤとドキドキの相乗効果を生み出しています。
また一歩距離が近付いた二人ですが、
楽園次号からは第三シリーズが開始されるとのことで、
次に待ち受けるのはどんなニヤれる展開か、はたまたトラブルか。
また単行本としてまとまるまでの向こう二年間は死ねません。
守りたい、この笑顔。


貴方が貴方だから好きになれた。
付き合うようになったとは言え、未だぎこちない二人。
好きであることは否定しようのない事実ではあるけれども、
一体何を好きになったのかは掴めずにいる。
傍目から見ていれば実にニヤニヤできるのに、
どこかふわふわした関係だというのが前半の印象。
全体的な流れは相手のどういうところが好きかを自覚して、
一層関係が深まる結末へと向かうため、
心理的なものとか行動とかの描写を最初と最後で見比べてみると、
色々と変わったところが見受けられるのではないかと思います。

中盤で秋人の母親が暴走したときには、
前回とはまた違った修羅場フラグにおいおい一体どうなっちゃうんだよと、
気が気じゃなくなること請け合いです。

こういう母親だったからこそ関係が進展することに繋がりはするんですけどね。
母親と恋人のどっちつかずのまま、どちらからも逃げていた今までと違って、
両方ともしっかりと正面から向き合うために踏み出した。
一人で抱え込んで逃げてしまうヘタレなところも許容して好きになった。
支え合ってるって感じが見ていてとても心地いいなぁ。
睦子が秋人の母親と直接対峙する日も近そうです。
しかしまさか秋人がキス魔になってしまうとは思わなんだ。
事あるごとに迫りすぎですって。


付き合う者あれば見守る者あり。
前回は多角関係の一角だった葉月さんだけど、
今回は二人の関係をサポートする立場になっていて、
何かとアドバイスをしたり写真ゲットしたりと役得な感じですね。
自分が玉砕したことから吹っ切れて魅力が増したようにさえ見えますよ。
葉月さんに限らず、周囲の人が揃って応援してくれてるのがいいなぁ。
すっかり公認カップルって感じでね。
しかし秋人が既に付き合ってることを知ってるのに、
告白してくる人が後を絶たないってのも何だかすごいな・・・
校内のみならず、校外でも応援体制は変わらず。
ちょっとしたことから睦子の家に上がることになってしまった秋人が、
睦子の母親とご対面なんてシーンもあったりするけれども、
あらあらうふふって感じですごく生暖かい目で見てきてたりして、
親からも公認か!と、既に他が入り込む隙が存在しません。

作中で二人が付き合ってることに否定的なのって秋人の母親だけですよね。
正面から向き合う覚悟ができた今回の流れを受けて、
今度は付き合ってることを容認してもらうことが次の主題になるかも?


涙よりも笑顔でいたい。
表情豊かになった睦子さんそのものも大きな見所。
付き合い始めて間もないこともあって、
あらゆる場面で赤面する様子とかが可愛くてたまらんのですよ。
母親に秋人を紹介するとき、デートのとき、関係が一歩進んだとき。
どのシーンにもMVPをあげたい気分にさえなりますね。
特にインパクトが強かったのが描き下ろし部分のデート回。
いつもは結んでる髪を下ろしてるってだけでも必見の価値ありですよ。

一生懸命お洒落した感じが思いっきり伝わってきて、
とにかく破壊力高すぎる。
これじゃどこかに出かけても睦子さんばかり見ちゃいますね。