言葉無き心の通じる時 『銀の匙 Silver Spoon』 6巻

銀の匙 Silver Spoon (6) (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon (6) (少年サンデーコミックス)

エゾノー祭の準備で多忙に次ぐ多忙に追われて満身創痍の八軒。
そんな中で初の馬術部の試合に参加することとなり・・・
アニメ化の情報もノイタミナ枠が決定したりと、
少しずつ確かなソースが出てきて期待が高まる本作。
今回は試合初デビューを果たす馬術の大会を中心として、
秋真っ盛りの奮闘し、悩み、成長する姿が描かれることになります。

都市部に住んでいると味わうことができない、
全く異なるライフスタイルにカルチャーショックを覚えながらも、
毎回山あり谷ありの盛り上がりを見せてくれて安定して楽しめますね。
馬術なんて滅多にお目にかかれる競技じゃないですが、
あまり良くルールを理解して無くても熱くなれますよ。
全体的に心理描写が細かく描かれてるが故でしょうか。
そしていよいよ迎えたエゾノー祭本番当日に訪れる一大事が、
これまた意外とも順当とも言える展開でドッキリです。
しかしほとんど車の通ることの無いロングストレートの道路を、
馬に乗って走るとかめっちゃ気持ち良さそうですね。


笑いも白熱も込もったデビュー戦。
一見すると優雅にも見える馬術だけれども、
実際の試合ともなると意外なまでの迫力があって、
何も知らなかったが故の認識を見事にブレイクしてくれてます。
規定通りのコースを走って障害を飛び越えるだけでも、
馬と人間の心を通じ合わせ、良い記録を残すためのドラマは、
まさに熱血スポーツものと比べても遜色ありません。
最初のジムカーナは半ばギャグのままだからともかくとして、
その分、小障害飛越Cでも盛り上がりっぷりが半端ない。
緊張してる自分に活を入れるために、
自分の足に鞭を入れてスタートする時点からして、
スイッチが入って一気に空気が変わりますからね。
これがバトルものだったら陰腹してるところですよ。
勿論それだけで終わるわけもなく、最初に鞭を入れたことが原因で、
ゴールまでのラストスパートは落馬するか否かの瀬戸際に。
必死で喰らい付いた結果が実を結ぶ瞬間は本当に熱くなりますよ。

どんなに無様でもゴールできたことの高揚感と、
記録は上位に一歩及ばなかったことの敗北感。
同時に味わった八軒が今後馬術という競技とどう向き合っていくのか、
成長の延びしろがあるだけに期待ですね。
そして何と言っても今回欠かせない存在なのが新キャラの南九条さん。

基本的にイロモノのお笑い担当な勘違い似非お嬢様で、
大会ではひたすらに笑わせてくれた一方、
終盤のエゾノー祭当日に起こったトラブルに助け舟を出してくれる格好よさ。
こういう憎めないキャラは話に色を添えてくれていいですよね。


色恋沙汰も新たなるステージへ!?
今までこと恋愛に関しては暖簾に腕押し状態だった御影さん。
大会終わってからのヒロイン力が一気に上がってヤバいです。
デートの誘いをそれと気付かずにあっさりOKしたところまでは、
全く脈が無いいつもの通りだったのが、
クラスメイトの女子たちに一気に捲くし立てられて以降がもうね。

途端に意識するようになってしまったらドキドキして眠れなくなってしまったり、
本人が居ない中で名前を聞いただけですくみ上がってしまったり、
なかなかの悶絶っぷりを発揮してくれてますよ。
今回は一大トラブルによって、八軒のことを意識するようになってから、
一度も対面してないけど次回に直接顔を合わせたときにどうなるかですね。