その生態はまさに未知の領域 『じょしけん。』

じょしけん。 (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

じょしけん。 (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

あらゆる分野に精通し、天才の名を欲しいままにしてきた少女・こがね。
唯一理解することのできない女子高生という存在の生態を探るため、
自らも同じ存在となるべく転入してきたのだが・・・

見た目や理想では華やかなものでありながら、
現実はUMAのように得体が知れず、
ある意味非常にエグい一面もある不可思議なる年代。
そんな中を全力で楽しむ少女たちの姿を、
ゆるい雰囲気の中で描いた本作。
カテゴリとしてはゆる系に属するのんびりした空気ながら、
所々で女子力が試されるシーンが見え隠れし、
しっかりと身だしなみに気を使ったり使わなかったり、
表現はソフトながらも見た目とのギャップや現実に切り込んでますね。
元々掲載誌が百合専門のつぼみであることと、
舞台も女子校ということで微百合要素もありますし、
そちらの需要にも応えてくれているのが嬉しいところ。
巻数表示が無いあたり1巻完結のようですが、
すごく自然に何気ない日常のまま終わっているため、
いつ再開しても問題ないので復活してくれたらなぁ。


朱に交われば赤くなる。
当初こそ生態調査の大義名分があったものの、
気が付けばそんなものはどこへやら、
自然にのんびりとした空気に溶け込んでるほどのゆる気質。
それもそのはず、内心で求めていたのは同年代と仲良くなりたいこと。
今まで研究一筋で友達も居なかったのだから、
そりゃ憧れもしますって。
勉強を教える名目で家に友達が遊びに来てくれることになったときの、
喜びっぷりと浮かれ具合ったらもうね。

弁当自作とか女子力溢れる描写なども交えつつ、
知れば知るほど女子高生らしくなってくるわけだけれども、
最たる例が下着に関するエピソードでしょうね。

全く無頓着だったのが年頃の娘として着けてないのは問題だと指摘されて、
色々と着用してるところを想像しちゃったりなんかしてね。
小さいから着けてない、スポブラにしてる、
周りの目を全く意識してない女子高生らしい発言だなー。
世の男の大半はおっぱゐ好きですから、意外と見てるもんですよ?
例え女子校でも通学時に目にする機会はあることですしね。
しかし究極的には寝癖だの服装だのを全く気にしない、
吉住さんみたいな風になってしまうものなんだろうなぁ。

男が居ないとどこまでもズボラになると言いますから。
極端な例かもしれませんけどね。
それにしても吉住さんはどこぞの某軽音部のギターの娘を彷彿とさせますなぁ。


仲良く、それは時として百合の域へ。
かなり線引きが難しいところではありますが、
百合な描写に関してもいくつか見え隠れしており、
華々しさに色を添えてくれています。
こがねさんに関連するシーンは全体的に友達って感じが強いのに対して、
笹川さん絡みはどうにも百合色が強くなることが多いですね。
見た目もさることながら、作中で最も女子力のあるキャラ故でしょうか。
一人勉強会に参加できなかったことに嫉妬して蹴り入れたりとか、
色々と想いの込もった熱い蹴りですよ。

そして何よりも終盤に差し掛かる頃になってから登場する、
田村さん関連での全力ぶり。
今まで小出しにしてた百合的な空気が、
一気に解放されて押し寄せてきて、よしきた!って気分にさせてくれます。

まぁ田村さんの場合、むしろ変態の域に達してますけどね。
出番が少ないながらもその濃さで凄まじいインパクトを残してくれたので、
仮に本作の続きがあるのであれば、もっと出番を増やして欲しいところです。