抗いようの無い運命がもたらす悲劇 『魔法少女まどか☆マギカ〜The different story〜』 中巻

魔法少女まどか☆マギカ ~The different story~ (中) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

魔法少女まどか☆マギカ ~The different story~ (中) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

他人のために願い、契約した結果によってもたらされた悲劇より幾許か。
まどか&さやかと出会い、再び仲間のできたマミさんの前に、
決別したはずの杏子が姿を現し・・・

一週間前に出たばかりの上巻から早くも第二弾が登場した、
まどマギのスピンオフ番外編ストーリーとなる本作。
前回ほとんど出番の無かった三人も本格的に話に絡んでくるようになり、
どこを切っても真っ黒なダークファンタジーっぷりが加速しています。
本編4話〜8話あたりがベースになってはいるものの、
似ているようで全く違う展開が描かれていて、
文字通りの一寸先は闇状態です。
まどマギワールドなので、
どう転んでもハッピーエンドになることだけは絶対に想像できませんが・・・
もし、お菓子の魔女戦でさやかが契約して、
マミさんが死なずに済んだとしたら。
そんなちょっとしたIfから派生する物語は、
ある意味予想通り、ある意味想像以上の展開を迎えることに。
最終的にはほむらにリセットされる話であったとしても、
それならそれでどんな結末に辿り着くのか、
来月の下巻発売が早くも待ち遠しいですね。
とりあえずマミさんのティロ・フィナーレ以外の技も見られるので、
ちょっと新しい発見だったかも。


歩み始めた異なる道は、鏡映しのような表裏一体。
表現方法は違えど、本心では誰よりも他人を気遣う二人。
確かに他人の幸福を願ったために不幸を招いた杏子は、
すっかりやさぐれてヤケ食いの如く常に何かを食べている、
本編通りのキャラに変わり果てていて、
前回のようなマミさんを「さん」付けで呼んで、
先輩と慕ってくれていた頃の面影は微塵もありません。
が、だからこそ根本的にお節介焼きなところとか、
不器用ながらもさやかのことを気にかける様子が一層際立つんですよね。
何だかんだで優しい娘なんです。
一方でマミさんは良くも悪くも相変わらずのキャラのぶれなさ加減。
杏子の場合は不器用なお人好しなのに対して、
こっちは空気を読まない超一方通行なお人好し。
黒化しかかってきてるとは言え、さやかにまで引かれちゃってるじゃないか。

鞭の無い飴だけの想いってのも、ある意味残酷なものがありますね。
この二人を足して割ったくらいが一番いいんだろうなぁ。
極端すぎるとどうしても偏りが出てきてしまいますわ。
ラストの急展開から、二人が一体何を思い、
互いの気持ちと事の顛末に如何にして決着を付けるのか。
「死ぬしかないじゃない」フラグが立ってしまうのか。
そしてまどかは契約してしまうのか。
もしかするともっと想像以上の何かが起こって、
絶望的すぎるラストを迎えてしまうことになるのか。
楽しみでもあり、怖くもありますね。


彼女は、果たして救われたのか。
前回はマミさんと杏子以外は全く出番が無かったわけですが、
今回はベースとなっている話数の場所が場所なので、
全体的にさやかの出番が多く、話の中心になってますね。
さやかと言えば、ソウルジェムの正体を知ってから、
NTRも加わって魔女街道一直線でしたが、
本作の場合だとかなり勝手が違う。
否、全然違う。
本編では契約した時点で既にマミさんは死んでたけども、
そちらでは見る事ができなかった二人の共闘シーンがあったりして、
より一層活躍してるって感じはするんですね。
それが思いも寄らぬ形で本編とは違う不穏な展開へと向かうことになるとはねぇ。
短期間に色々とありすぎてナーバスになり、
ダークサイドに堕ちかけることもあったりはするものの、
良くも悪くもマミさんの存在あって結果的には救われた。
そう思いたいです。
が・・・
確かに前の回の最後からしてQBが無茶苦茶ヤバい空気を放ってたので、
絶対によからぬ事が起きることは予感してました。
最初は何が起こったのかよくわからなくて、
その後のQBの台詞で一気に話はどん底へ。
さやかの最期の台詞が「あたしって、ほんとバカ」じゃなくて、
「ありがとう」だったのは間違いなく救済された筈なんですよ。

だのに天から地へと突き落とされるが如き引きが・・・
今回はラスト5ページに全てが集約されていると言ってもいいほど。

全ての希望が絶望に変わる瞬間ってこういうことを言うんですね。
まどかがルールを変えた後の世界でも円環の理だし、
どうあってもさやかは救われない運命なのか・・・