死に至らせる病、それが中二病 『Drc2』 2巻

Drc2 2 (BLADE COMICS)

Drc2 2 (BLADE COMICS)

妄想を現実に変え、自身ではなく他人の生命を奪う致死率9割に及ぶ、
現代社会に根付く難病・中二病

妄想と現実の狭間で揺れ動く患者たちへの治療は今日も続く・・・
発症しやすい年代から名称が付けられた概念としてではなく、
正式に病気として取り扱ったことによる、
SFとファンタジーが交錯する現代医療アクションに待望の2巻目が登場です。

どのエピソードも一度は妄想した経験があるようなものばかりで、
とてもじゃないけど他人事とは思えないですね。
何よりもこれだけ幅広い妄想の数にびっくりなわけですが。
新キャラとしてワクチン娘さんたちも多数登場して、
およそ半分くらい出揃った現状で未だ見ぬ残りの娘たちの特性や、
どんな症状を持った患者が登場してくるのか。
医者であるが故に目の前で起こる非現実的な出来事を受け入れられず、
常識の壁を越えた考えに至れないでいる紀久美先生が、
どのようにして中二病という現に起こっている病気と向き合っていくのか。
今後も楽しみなところですね。


発症の形は人それぞれ、されど全てが死に至る。
普通中二病と言うと、どうしても邪気眼系なものを想像してしまいがちですが、
結局のところはそれも一つのパターンでしかなくて、
現実にはありえないことを妄想して自分を見失った時点で、
発症していると言っていいほどに広義なもの。
実際、実に様々なパターンの症例が今回も登場します。

最初のエピソードに出てくる「最強の剣」なんて、
誰が見てもそうだと一発でわかるようないかにもなものもあれば、
ギャンブルを始めとした勝負事の全てに必ず勝つという、
かなり特殊なパターンまであり。
まさか本作で麻雀を見ることになるとは以外だったのですが、
成程、己の運気を操ることも中二病のケースに当てはまるんだなー。
これはなかなかに目から鱗ものでした。

うん、普通に「絶対勝利」の能力は欲しいかも。
と、どんな能力であろうとも、行き過ぎた力は身を滅ぼすもの。
最終的に行き着くのは「死」なんですよね。
剣だの格闘能力だのの直接的なものは当然のこと、
何であってもいつかは自分の身の丈に合わないことをしてしまうのが人間。
ここまでくると立派な精神疾患ですね。
そこに着眼点を当てたが故の本作はやっぱり切り口鋭いです。


可愛くも侮れない過激な処方箋。
本作では中二病の治療ワクチンとして、
タロットカードの大アルカナの名前を関した娘たちが多数登場するので、
最終的に22人まで増えるのかと思うと、
誰かしらストライクなキャラが居そうで楽しみです。
今回も「戦車」「正義」「星」「悪魔」と非常に個性豊かな新顔たち。
個人的には「戦車」と「星」がいいなー。
しかし今までに登場してる娘たちも含めて全員黒い、腹黒い、どす黒い。

そりゃ治療対象が普通じゃない連中ばっかりだから、
それ相応に異常なところがあるのはわかるんだけども、
全員笑顔の裏に何かありそうなんですよね。
基本的にドSばっかりなのもあって、
ここまで信用できない笑顔ばっかりなのもすごいわ。
それ故に何を考えてるかが全くわからないのもまた然り。
全員の黒さがわかる女子会エピソードはちょっと怖かった。
最初は幕間の日常パート的な個々のキャラを掘り下げる話だと思ってたんですよ。
が・・・

綺麗な花には毒だらけですね。