人の消えた新宿の中・・・ 『どーにゃつ』 1巻

生存者の姿は無く、全てが滅んだかのような東京・新宿。
そこに一匹の猫のようで猫でない謎の生命体が目を覚まし・・・

最近ではFE覚醒のキャラデザを手掛け、
中の人的にはハイスコアガールの発売イベントで、
押切蓮介氏とトーナメント決勝を戦ったコザキユースケ氏。
そんな氏が手掛ける本作は、
一見するとゆるキャラたちによる日常ものでありながら、
実はとてつもなくハードな世界観と数々の謎に包まれた、
ガチガチのSFものだったりします。

表紙からして白骨死体が転がってたりしますからね。
確かにゆるいだけではない、ただならぬ雰囲気が漂ってるわけですよ。
キャラに反して背景書き込みとか相当に細かいし、
このあたりのギャップもまた世界観の異質さを物語ってますね。
勿論可愛いキャラのやり取りも魅力ではありますが、
SFとしての側面こそが最大級の見所。
猿の惑星のような衝撃的なクライマックスが待ち受けているともわかりませんが、
一体何が起こるのか、何が起こったのか、
あらゆる点が予測不能な本作です。


展開次第では新たなゆるキャラブレイクの予感!?
現在も全国で様々なご当地キャラが存在していて、
中でもひこにゃんに代表されるように猫をモチーフにしたキャラは、
人気が高いことは最早自然の摂理と言ってもいいほど。
そんな猫キャラに加えて胴体がドーナツとか、
ミスドのポンデライオンと並べても違和感ないくらいですよ。
他にもベーグルにバームクーヘン、マカロンにロールケーキと、
洋菓子メーカーが一大キャンペーンを開催できそうですし、
ペットボトルのお茶のおまけでマスコットフィギュア化したら売れるんじゃないかな。
マチュマロという天敵が存在しながらも、
廃墟化した新宿を探索する姿は、
世界の深刻さを感じさせないほど和みます。
夢でドラゴンボールよろしくバトルしてる描写もあったりするけども、
やっぱりゆるくてほんわかしてしまうという罠。

どことなくTOKYO JUNGLEな雰囲気も漂ってるし、
そういう視点で見るとどこか笑えてしまうかもしれません。


可愛さの裏に隠された、壮大な謎。
作中で地名は明記されてはいないものの、
風景や看板等からして舞台が新宿であることは想像に難くありません。
が、人の気配などは皆無であり、
むしろ街中に普通に白骨死体が転がっているような有様。
普通に考えれば何かがあって人類が滅亡したと考えるのが妥当なのでしょうか。
探索しているうちに街中では絶対ありえないはずの、
90式戦車を発見して何かと戦っていた痕跡を見せてますし。
それに、一話目一番最初の東京地図を見ても、
不自然に地面に空いた穴が点在していたりと、
異星人の侵略なのかどうかはわからないにせよ、
戦闘の結果一部地域が消滅したように見えるんですよね。

読んでいく中で様々な推論が巻き起こる中、
今回のラストに訪れる急展開がまた凄まじいこととなっており・・・
地球の科学力を超えていると思しき謎の風景、
敵か味方かわからぬ黒いどーにゃつとブタの存在、
そして巨大ロボ。

あまりにも衝撃的すぎて言葉を失ってしまうレベルなのですが、
どーにゃつ達が一体何者であるのかも含め、
次第に謎が核心に迫ってゆきそうで楽しみですね。