フレーム越しの日常はかくも美しき? 『しかくいシカク』 1巻

しかくいシカク (1) (まんがタイムKRコミックス)

しかくいシカク (1) (まんがタイムKRコミックス)

高校入試の試験会場で出会ったアクの強い三人組。
一枚の写真をきっかけとして入学後に本格的に写真部として活動することとなり・・・
ふおんコネクト!やわがままDIYで知られるざら氏が送る新作は、
写真部の活動を中心とした楽しくも慌しい日々を描いた内容となっております。
日常系と言うにはぶっ飛んだ展開が多く、
ゆる系と言うにも基本アクティブな連中ばかりなので、
文科系の部活動もののジャンルとしてはかなり異色な感じがしますね。

氏の作品をどれでも一度読んだ事があればわかる情報量の多さも相変わらずで、
各所に小ネタやパロが多分に含まれており、
腰を据えてじっくりと時間をかけながら読みたい内容ですね。
写真をやる上でネックとなる機材とかテクニックとか敷居の高さも、
専門的な話は少なめにあくまで「撮る」ことの楽しみと、
フレーム越しに残しておきたい日常風景とが中心なので、
専門知識はゼロでも全く問題なく楽しめます。

むしろ余計なことを考えずに済むから、
逆に知識が無い方がいいかもしれませんね。
単純にパロネタを楽しむのもありだし。


形からじゃなくて実践するところから始めよう。
写真部ってことで、全員一眼レフのごっついものを使うのかと思いきや、
クラシックタイプ(ただし約80万の超高級品)とか、
カメラ機能付きの携帯だったりとか、
今すぐからでも始められるくらいに身近なのが嬉しいところですね。
本格的に揃えるのは抵抗があるとしても、
今の時代、携帯ならほとんどの人が持ってますしね。
中にはいきなり一眼レフとか買っちゃったりとかして、
形から入る人もいたりするかもしれませんが、
何事も用途と目的に見合った選択ってあるもんなんだなー。

純粋に「撮る」ことを楽しむのであれば携帯のカメラでも十分なんだ。
そういう意外な一面にも気付かせてくれる本作です。
実際に使ってみると確かに携帯でもなかなかにうまくいかないことも多いし、
入るは易し、極めるは難しの世界。
大事なのは物とか値段じゃなくて、どう使うかですね。


多種多様に及ぶネタの数々を全て把握するのは至難の業?
一発でわかるようなコスプレ的なネタから始まり、
台詞やサブタイトル、作中の広告や張り紙に至るまで、
とにかく全ての方向に渡ってネタが展開されているので、
本気でそっちまで気を配ると読むのに非常に時間がかかります。
黒板に「遺留品」って書いてる横に某ロシアの超人が描かれてたり、
甘味処の壁に張られているメニューにジャイアンシチューがあったり。
細かくて大雑把に読んでいたら確実に見逃しそうなところに、
こういうネタが潜んでいるもんだから、
まるでウォーリーでも探しているような気分にさえなってきます。
そして気が付くと全てのコマでネタ探しするようになるから、
昼に読み始めたはずなのに終わる頃には日が沈んでたりとかね。
(実際そうなったりした)
そもそもキャラ紹介のページからしモゲマス風だったりするし、
この時点からして漂ってくるネタ臭が半端ないんですよ。

一眼レフをデンドロビウムに擬態化させたりする懐かしいところから、
コンプガチャ問題で沸き立つモバイルゲームまで取り上げるとか、
ネタの幅が広いなんてレベルじゃないだろ、これ。
カメラ繋がりで映画泥棒とかシュールなのもあるし。

いっそのことミスターVTRを出すくらいやってくれないかなー。