性的な意味での好きが止まらない 『めいなのフクロウ』 2巻
- 作者: 水あさと
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05/09
- メディア: コミック
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しかし当の相手からはドン引きされる反応を返されてしまい・・・
つい先月に「デンキ街の本屋さん」の最新刊が発売されたばかりで、
先日開催されたコミティアでも新刊の「男子トイレで待ち合わせ」と、
一人水あさと祭りが自分の中で絶賛開催中な現在。
大トリを飾るは偏愛を描いた衝撃の本作が登場です。
特異なシチュエーションにおける赤面少女を描けば
相変わらず比類なきほどの真価を発揮してくれますね。
既に自分の中では赤面少女マイスターとして認識してるくらいですよ。
そんな今回はタイトルにも使われているフクロウの要素は若干影を潜め、
いくつもの恋心が交錯するラブコメ要素が前面に押し出されています。
所々に変態的な要素はきっちりと残してくれていたりはするんですけどね。
今回は話の主眼から外れたサブキャラ的な位置に落ち着いている
アキ兄のSMシーンはある意味必見の価値ありかも。
勿論変態的な意味で・・・
うん、赤面少女を描かせるのと同じくらい変態を描かせると輝くなー。
変態要素すらラブコメとしての一要因に組み込んでしまう手法は、
他の誰も真似できない独創性に溢れてますよ。
本作は落ち着くところで落ち着いて完結しましたが、
また他の新連載とか同人誌で如何なシチュエーションが飛び出すのか楽しみでなりません。
本編とは違うけど幕間描き下ろしのファミレス話がまた面白いから困る。
家だと誘惑が多いからか、作家業をしている方々がファミレスで作業するってのは割とよくあるのかな。
構図の一変する恋愛関係の行く先は・・・
前回はめいながアキ兄のことが好きで、
かなめが少なからずめいなのことを想っているって構図でしたが、
今回は完全にめいなとかなめの関係を巡る展開に終始しています。
一気に流れで沖縄の実家まで行ってしまって一悶着あり、
このまま二人が結ばれる流れになるのかと思いきや・・・
友達としては好きでも「性的」な意味では否定とかダメージが致命的すぎる。
親にまで認められておきながら本人にこんなこと言われた日にゃ、
普通なら再起不能になってもおかしくないですって。
嗚呼、アキ兄にドン引きされたときのめいなの気持ちも、
このときのかなめの気持ちとほぼ同じだったりするんだろうなー。
前半ではストーリーが、後半ではそれぞれの気持ちが大きく動く流れとなっていて、
めいなの視点からすれば当初は性的な意味では好きじゃないと否定したのが、
本当に好きなのは誰なのかと自分でもわからない気持ちを自覚するに至るまで。
かなめの視点からは否定されたけれども好きな気持ちは変わりがなくて、
近付くためにはどうすればいいかとそれを実行に移す行動。
互いの気持ちがすれ違いながらも距離を縮めてゆき、
最終的に結ばれるまでの過程がとにかくもどかしい。
ひたすらに遠回りを繰り返したけれども、
着陸するところに着陸して一安心です。
本当に前回の「性的に好き」発言のあたりとか、
変態的すぎてこれからどういう方向に向かうのか心配でしたからね。
変態的な告白もあれば、押し殺す想いもある。
展開とか結末だけを見れば普通にラブコメですが、
要所要所はやっぱり変態的なものがあったりするんですね。
帯書きとかの時点からして偏愛を謳ってますし、
その時点からして色々とアレなことは想像に難くないものの、
ラブコメにあるまじきシーンまで飛び出て一瞬フリーズしてしまったりも。
アキ兄のSMシーンェ・・・
本物の変態はさておき、クライマックスの告白も変態的。
色々あって両想いになってから改めて告白するシーンがとにかく見もの。
とある事情で入院した身体を押して学校にやって来て、
他の生徒たちもたくさん居る中で「性的」って単語を交えた大告白大会ときたもんだ。
口説き文句は最低だけどシチュエーションは最高です。
と言うかこんな場で性的にとか言われたら、
エッチしようぜとかそんな風に解釈できるからヤバい。
それだけ必死に燃え上がる恋愛とかしてみたいぜよ。
一方で本筋の二人とは異なるところで動く恋心は非常に切ない。
当初からめいなの友人としてレギュラー登場していたほたてさん。
あらゆる面からサポートしてくれる良き親友キャラとして、
宿命とも言える秘められた想いがもう一人のヒロインとして機能しています。
二人を応援しているから押し殺さなければならない気持ち。
実はかなめのことが好きだったなんて反則だろ。
感情が爆発して本人に当たってしまうところとか、
一度はめいなのことを諦めかけてもやっぱり想いを貫いたかなめの気持ちを知って、
自らの失恋を自覚して一人涙するところとか胸が痛くてたまらない。
クライマックスの告白シーンの後もさりげなく強がってなつきにすがりついたりしてるし、
実はかなり複雑な心境だったりしたんだろうなぁ・・・
好きな人と付き合うよりも本人が幸せになってくれることを選び、
最後の最後まで二人とは親友としての立ち位置をキープし続けるあたり本当に強い娘ですよ。
本編では報われることはなかったけれども、
いつか救われる日が来てくれることを願います。