いつも通りが一番いい 『ゆゆ式』 4巻

ゆゆ式 (4) (まんがタイムKRコミックス)

ゆゆ式 (4) (まんがタイムKRコミックス)

全くいつも通りの何気ない一日を過ごす三人組。
今日も場所を問わずgdgdな会話で笑い合い・・・
平々凡々とした日々を描く日常系作品も随分と浸透し、
何気ない一時こそ至高の時であることを実感することも
珍しいことではなくなってきた昨今。
そんな日常の中でも更に平凡さを究極的に追求し、
変わらないと思っている中にも見所や面白いことが満載であることを
明確に語るでもなく本能的に実感させてくれる本作。
海に行くって一大イベントも発生しつつ、
日常系の最右翼として今回ものんびりゆるゆるとしています。

正直な話、全きらら系作品中で最もアニメ化を熱望してたりするのですが、
いつか来ると待ちわびながら
Aチャンネルキルミーベイベー、あっちこっち、と
先に展開される現状にひたすらやきもきしている次第です。
そのあたりの資質も十分に備えてると思うんだけどなぁ・・・
兎角、本当の意味での「日常」ってものを垣間見るには最適なのですよ。


無の中から有の価値を見出す楽しみこそ人生を楽しく生きるコツ。

日常ものの中でも、ここまで日常ぶりを突き詰めた作品って珍しいと思うんだ。
確かに何てことの無いゆるさを描いた作品は多いですが、
キャラの性格付けだったり特殊なイベントが起こったり、
どこかしら独自の色付けをして個性を出しているものが主流。
本作の場合、キャラ的なところはともかくとして、
話の展開としては本当に何もないことこそを特徴として、
逆にそれを色として押し出すと言う、
言うなれば素材の味を活かした内容になってるんですね。
料理に例えれば本作は温野菜って感じでしょうか。
カバー下でもいつも通り感が強く出されていて、
本編のコマを入れ替えた内容になっているのですが、
これもまた全く違和感が無い。
毎日違う話題を話しているようで、
実はほとんど同じ内容だったりすることもまた日常。
メインの舞台も教室、部室、家がほとんどですし、
話題もどうでもいい一言から生じたどうでもいいことばかりで、
冷静になると何がおかしいかもわからないのにおかしくて笑ってしまう。
でも日常ってこういうものなんですよね。
友人の家に遊びに行って、2リットルのデカいアイスがあることに感動するとか、
小さな出来事に楽しむエッセンスを加えられるって重要ですよ。

今回ははじめて海に行くなんて一大イベントが起こったりもしますが、
それも一話足らずで終了だし、どこまでも一過性の出来事として描いてるのがすごい。
普通ならこれだけで2〜3話くらい引っ張れるような代物ですよ。
究極まで突き詰めると何気ない日々の全てがイベントってことですね。
こんな風に楽しめればルーチンライフも苦じゃないです。


何気ないからこそ強く描き出される心情。
基本的には何てことの無いやり取りが繰り返されるだけの本作。
しかしながら各所で思わずドキッと来る一言が散りばめられてるんですよね。
将来に付いての話題になったときの縁の心情にはかなり考えさせられるものがありました。

けっこう重そうな話でも軽く流せる楽観性は見習いたいです。
そして何と言っても普段はツッコミ役でどつきも多く、
口調も割りとサバサバしてる唯のツンデレっぷりがたまらない。
親しいからこそ手が出てしまうってことなんですよね。
本当に大切な親友だと思ってる本音が出てくる度に、
デレたー!と大歓喜ものですよ。

ある意味、本作における真理は全て唯にあると言ってもいいんじゃないでしょうか。
海に行った件でも三人のときは表に出さずとも、
帰ってきてから楽しかったと改めて噛み締めてたりするし。

ゆずこや縁は普段から愛してるとか言っちゃったりと、
ラブラブオーラを放出していたり、
全てをナチュラルに楽しんでるから余韻ってものとは若干違う。
唯ってたぶん思い出を一番大事にするタイプですよね。
メインの三人意外にも、佳さんは相変わらず相沢は私の嫁状態だし、
おかーさんは教師として以上に母性に満ち溢れてるし、
人間関係も見ていて非常に楽しいのです。