君は僕の鞘だった 『断裁分離のクライムエッジ』 5巻

殺人衝動に暴走しながらもエミリーに勝利した切。
受けた傷を癒し退院したのも束の間、次なる「受注製品」が登場し・・・
イカれた世界観の中でイカれた連中が殺し合う、
何もかもが普通じゃない狂気のバトルが描かれる本作も5巻目。
「判決執行」を殺した三人の「受注製品」のうち、
二人目となる「照準貫通」との戦いが中心に描かれる今回は、
切が改めて自分が戦う理由を見つめ直し、
祝との絆も戦いの中で一気に深まる内容となっております。
幕間とか番外編では萌え成分が多分に含まれていて、
これでもかってくらいにラブコメってるのに、
バトル展開に突入した途端に一転して狂気に彩られることになるから、
相変わらず激しい起伏の連続に気が抜けませんよ。
イチャつき回で和んだと思ったら、
次の回で脳天撃ち抜かれた死体とか出てくるんですからね。

何をしたいのか行動原理が不明な「醜聞」の「魔女」も、
決定的な対立姿勢を露にしましたし、
未だ詳細不明な三人目の「受注製品」は次回登場するのかとか、
そろそろ仲間内で誰か死ぬ展開があるんじゃないかとか、
これからどんな風に展開していくかが気になりますね。

全てがイカれた本作ですから、きっと想像の斜め上をいってくれるはず・・・


彼の者にとっては、殺人も快楽を得る一手段。
今回登場した「照準貫通」こと神は、
色んな意味でこれまで登場した権利者とは異なるタイプ。
本物の権利者は遺品の影響もあって陰気なキャラとか、
頭のネジが外れてるようなぶっ壊れたキャラとか、
ダークなイカれっぷりをしているのばっかりでした。
が、神の場合は表向きはどこにでもいそうな爽やかで陽気な兄ちゃん。
しかして本性は一方的に相手を蹂躙し、弄んで殺す高慢さ。

やっぱり根本的なところは狂ってるのがさすがというべきですか。
見た目は普通に壊れてる連中の方が危なっかしいけど、
現実的には神みたいなタイプの方がよっぽどタチが悪いですよね。
職業が医者ってのも生殺与奪権を自分が握ってるっていう
圧倒的な優越感が味わえるからとしか思えませんて。
尤も、こんな風にイカれた奴らじゃなきゃ殺害遺品なんて扱えたもんじゃないか・・・
あらゆるタイプの異常者が出てくるもんだから、
人間の黒いところとか嫌でも見せ付けられますね。


見なければ戦えぬ、されど見れば撃ち殺される。
そんな神が使う受注製品の殺害遺品は銃。
実にらしさを全力で発揮しまくった武器ですねこれは。
固有スキルも視線が合ったら必中のヘッドショットとか、普通にヤバすぎ。
初の遠距離タイプが相手ってこともあって、
普段とは異なった駆け引きの応酬によって、
有利だと思っていたら不利になるどんでん返しの連続に、
一体どういう形で決着が付くのか最後まで目が離せません。
祝もその凶弾によって狙撃されてしまい・・・

心の隅ではさすがに「女王」がこんなあっさり死ぬわけがないと思いつつも、
撃たれた瞬間はさすがにびっくりしました。
真っ向から挑んだら速攻ヘッドショットで瞬殺されるような相手ですから、
如何にして逃げるか、クライムエッジの狂気に如何に打ち勝つか。
切が格好悪くも成長する様子も描かれていて、
死線を見たギリギリのところで逆転するバトルものの醍醐味が詰まってますね。
こんなイカれた戦いの中なのに、初の共同作業で戦って、
しっかりと信頼関係深めちゃう切と祝は半端ねぇです。

一応前回暴走したときに習得した痛覚増幅のスキルも使いこなせるようになったみたいだけど、
いかにもな構えを取る切が中二病っぽくて何だか笑えた。
しかし相変わらず一度攻勢に回ると強いなークライムエッジは。


バトル展開の非現実、萌え要素の非現実。
本編がこれでもかとぶっ飛んだイカレっぷりなので、
最初と最後の幕間と番外編が本当に癒されます。
前者は何気に切の妹なんて新キャラ登場してたりしますからね。
本当は兄のことが好きなのに素直になれずに憎まれ口ばかり叩いてしまう、
勝気なツンデレ妹って実に押さえるところ押さえてますよ。

番外編は番外編で微妙な胸の女性陣による、
パジャマパーティーならぬ水着パーティーが繰り広げられて・・・

主要人物が中学生ばかりってこともあるけど、
かしこもニギもみんな胸のサイズが慎ましやかで俺得ですわ。
ロリとひんぬーにどんだけこだわりがあるんだよとツッコみたくなるくらいに。
作中できょぬーなんて「魔女」と病院坂姉くらいですからねぇ。
本作のキャラでちちくらべとかやったら、すごく残念なことになりそうです。
祝とかエミリーはフラットチェストにも程があるし。