ドキッ!?変態だらけの芸能界!? 『アイドルプリテンダー』 1巻

アイドルプリテンダー 1 (チャンピオンREDコミックス)

アイドルプリテンダー 1 (チャンピオンREDコミックス)

憧れの先輩の理想に近付くべく漢の中の漢を目指す主人公・因。
風邪薬と勘違いして服用した怪しい薬の作用によって性転換してしまい・・・

TSものとアイドルものとは共に古きから一大ジャンルを形成していたものですが、
まさかの両ジャンル複合と言う何とも凄まじい代物が出てきました。
主人公が女装したり男装したりで性別を偽りつつ、
アイドルや芸能界の荒波に立ち向かってゆく作品ではなくて、
性転換してしまったという前提からして我が道を突っ走ってます。
さすが赤い実験場、相変わらず変態な題材を扱えば天下一品ですね。
ええ、褒め言葉として変態です。
お色気シーンも多々盛り込まれているけれども、
REDレーベルとしては表現もソフトなので、
身構えずに気軽に入り込めるところもポイントです。

身体のみならず心まで女に染まってゆく主人公に萌えるもよし、
身体的な意味で女同士による百合展開を楽しむもよし、
精神的な意味で男同士によるBL展開を楽しむもよし。
あらゆる需要に応える供給の間口の広さは絶大のため、
きっと好みのカップリングが見付かるかも?


身体の性別が精神へと与える影響は多大にて。
何かもうね、回を重ねるごとにちなみが可愛くなってくから困るんですよ。
最初の頃はまだ自分が男である自覚の方が強いもんだから、
アイドルとして振舞うことに対しての羞恥心も強いし、
原因の怪しい薬を買い直すために何としても3億円稼ごうとする意識が
心情のメインとして描かれているのが、
後半になるにつれて現在のアイドル稼業も大変だけど満更じゃないように見えてきてですね。
仕草も段々と女の子らしくなってきてしまうし、
TSとか抜きにして素直に可愛いと思えるほどなんですよ。
最初のオーディションのときとか、変質者に蹴りをかますくらいの武闘派だったのも、
後半ではストーカーに拉致されてすっかりヒロインになっちゃってますしね。

長年生きてきた経験と記憶よりも、現在進行形の状況における強制力って強いんですね。
男でありながら女でもあり、女でありながら男でもある。
性別の壁を軽く超越した別次元の何かになりつつありますね。
まさに作中の言葉通り、
「美しければ性別など関係ない!」
を地で行くキャラなのです。

と言うか、もう男には戻れんだろこれは・・・


性別の変化は人間関係も捻じ曲がった方向へと向かう。
海千山千の魑魅魍魎巣食う芸能界ですから、
それ相応の個性が無ければ生き残ることは難しい。
とは言え、これはあまりにも濃すぎる。
ちなみと一緒にオーディションを受けてアイドルになった憧れの先輩は、
好みのタイプが漢とか言ってたはずなのに気付けばガチ百合に・・・
既に友情とかってレベルじゃないんですよ。
ちなみが男が好きなのか女が好きなのかで問い詰めた挙句に、
酔っ払った勢いで騎乗位体制ガチの告白をぶちかますほど。

ここの好きって絶対LikeじゃなくてLoveだよなぁ。
一応のメインヒロインからしてこれですから、
他の登場人物も普通のわけがない。
途中ライバルっぽいキャラが出てきたかと思いきや、
実は男でちなみの貞操を狙う変態へと変貌するし、

友人兼マネージャーの小栗はナルシストだったり裸になったり普通に変態。
ちなみが両性の性質を備えているから、
誰との関係が発展しても同性でもあり異性でもある変態関係は確定事項。
怖いわー、芸能界の裏側って怖いわー。