熱血女子の漫画道!? 『マンけん。』 1巻
- 作者: 加瀬大輝
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/10/19
- メディア: コミック
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日頃の冷静さを失わせる隣の席のアリスの存在が気になって・・・
女子高生たちによる部活動もので漫画を描く側と言う、
最近のトレンドとも言えるジャンルを複合してきた本作。
またいつものゆるい展開のガールズトークが繰り広げられるのかと思いきや、
体育会系さながらの熱血展開あり、
いわゆるはみ出し者たちだからこそ持ち合わせる疎外感の描写あり、
やっぱりオタ寄りであることを忘れないコスプレもあり。
意外なまでの熱さに驚きでした。
人間描写に活動実態と、理論だけでは得られないものがそこにはありました。
ただ漫画を描くと言う行為だけに収まらない話の深さ。
この手の題材となると、本当にガチで専門的にやっていくか、
知識はそこそこにリアルなメタ事情やギャグを織り交ぜたものが多い中、
本作のストーリーは基本的に重いものが続きます。
倖自身漫画を描いている事実を隠していること、
単純に描くことが好きなオタ少女であるアリスはクラスの中でも電波と呼ばれて、
露骨に全員からハブられている状態であること。
正反対ながらも紙一重で近い存在だからこそ、
何となく気になる程度だったのが根底にある気持ちが近付いてゆく
二人の奇妙な関係が一層浮き彫りにされたりするんですね。
ハブられているだけならまだしも、
描いていたものをクラス全員の目の前で音読されたり破かれたり。
一話目からこんなハードなシーンが描かれているもんだから、
漫画とかそういう題材を抜きにして胸が痛くなりますって。
半ば脅迫される形で漫研に入ったはいいものの、
漫研とは名ばかりのはみ出し者の避難所状態で、
全員が何かしらの重い事情を持ってたりするため、
倖も含めて今後人間としてどのように成長してゆくのかも見物なのです。
個性的ながらも何かしらの事情を持ち合わせている部の面子。
主人公の倖さん、見た目によらずなかなかに熱いキャラしてます。
近くて遠い正反対の存在であるアリスにイライラしつつ、
我関せずを通してきていたかと思いきや、
アリスが描いてた漫画を破かれると言う陰湿な現場を目の当たりにした瞬間、
キレて男相手に構わず一発ぶん殴ってしまうくらいの熱さ。
普通、ものを書くための手ってのは大事にするものじゃないんかぃ。
この沸点の低さと行動の大胆さはバトルものの主人公に通じるものすらあります。
一方で、全く進歩しないアリスの漫画そのものに対してキレる場面もあり。
熱いと言うか、決して譲れないものがあるって感じですね。
その領域に土足で踏み込んでくるからこと許せないものがあったのかも。
プロとして全力で否定しながらも、これまた全力で修正加えるあたり、
なかなかに過激なツンデレですねこれは。
これをきっかけに自身に足りないものに気付いて行くことになるんでしょうか。
周りに無関心だった倖をここまで熱くさせたアリスはある意味大物。
紛れもなく言動は痛いし、描いてる漫画も誰の目から見ても下手な代物。
確かに倖にオナニーと言われてしまっても仕方がないレベルなんですが、
あれなんだよなぁ、現実とか色んなものを知らなさすぎると言うか。
熱意だけは本物なんだけど、それだけでやってけるほど甘くはないパターンの典型的な好例です。
本気で叱咤されたことがどう影響してくるのか。
落書きレベルのそれは化けることができるのか。
倖共々漫画へ対する姿勢がどう変わってくのかが見者です。
他にもハブられるのが怖くて自身を偽っていた麻里香とか、
まともな会話はゲームを通してでしかできない直など、
重い背景を持っている面子もいることですし、
漫画を描く描写のみならず、純粋に人間としての成長譚に注目ですね。
ちなみに倖の名字は『日笠』、アリスの名字は『豊崎』。
開幕から何かデジャヴを感じる中、次に登場する部長は『竹達』。
嗚呼、ってことは残り二人はきっと『佐藤』と『寿』だなと思っていたら、
次に判明した麻里香の名字が『白井』。
あるぇ〜?
まさかの放課後ティータイム中の人繋がりを見事にブレイクされてずっこけました。