貴方は私が守ります 『これは恋のはなし』 3巻

これは恋のはなし(3) (KCx)

これは恋のはなし(3) (KCx)

遙の父親からも今の関係であることを頼まれ迎えた新たな春。
5年生へと進級した遙の身に災難が降りかかろうとしていた・・・
今、歳の差恋愛が熱い!
31歳と10歳の禁断の恋愛劇も早いもので3巻目。
成長できずに悩む真一と着実に成長を重ねてゆく遙の関係も、
大きく変動はせずとも水面下での動きの数々がボディブローのように効いてきます。
特に前半部はちょっとした想いの食い違いから生じた、
一つの災難を中心に展開してゆくために
ひたすら読んでて心が痛くなるくらいに重かった。

恋愛感情が暴走すると恐ろしいことになりますね。
後半は軌道修正して少し状況が変わりつつも
内海家に出入りする面々の奇妙な関係が描かれることになりますが、
これまた最後の引きが次回以降にクライマックスへと
一直線に向かうのではないかってくらいの重要フラグが立っているので、
最終的にどういう結末へと着陸するのか想像つきませんね。
年齢差を乗り越えて真一が自分の想いに正直に向き合うことになるのか、
それとも引き離されてしまう悲劇が待ち受けているのか。
元々全3巻の予定だったらしいので、
どちらにしても次が大詰めを迎えることになるのは間違いないでしょうね。
真一の昔の女と思われる存在もほのめかされてきたところですし。
しかし本作の年齢差が21歳と言うのも禁断すぎる関係ですが、
先日加藤茶がこのダブルスコアを超える45歳差の再婚をしてしまいましたからね・・・
現実って怖いと思うのと同時に、年齢差がなんぼであっても
希望を捨てちゃいけないなと思った次第です。
実際、自分も真一と同年齢ですから、小学生の恋人ができてもいいと思うんだ。
間違いなくロリコンの烙印は押されるけど、否定することでもないから問題ない。


新キャラ登場は波乱の展開発生フラグ。
新学期と言えばクラス替えで新たな出会いが待っているもの。
が、遙にとってのそれは災難の前触れだった・・・
ぃゃとにかく読んでて重かったです。
学校で待ち受ける重い展開って言ったら、そう、いじめですよ。
一番最初の体操服を隠される時点からして嫌な予感はしていたのだけれども、
エスカレートしてノートを破かれたり死ねだの落書きされたり、
本当に見ていて一発でそれとわかる典型的な例だけに、
視覚的にすごくくるんですよね。

暴力的な手段にまで発展しなかっただけまだマシってものですか。
しかしいつの時代でも陰湿なやり口ってのは変わらないなぁ。
この主犯格こそが新キャラの曽根原さんなのですが、
何と言うか、女って怖いなと思わせる存在でした。
そもそもの原因が曽根原さんが杉田に惚れて、
当の杉田が遙と付き合ってると勘違いしたからなんだけれども、
思い込みでここまで陰湿な行為ってできるもんなんですかね。
直情的な子供だからこそでもあるのかな。
遙に詰め寄るときの表情なんて、
完全に気に食わない新妻をいびる鬼姑のそれですよ。

かと思ったら、誤解が解けた瞬間から友達宣言ってあんた・・・

怖いよ!女って怖いよ!怖い上に理解できないよ!
あれだけ悪役っぷりを発揮した後だから、
和解した後の笑顔からも黒い打算的なものしか感じられないよ!
曽根原⇒杉田⇒遙⇒真一って、一方通行の奇妙な関係が成立した今回でした。


例え誰であろうとも、女とは強かな生き物である。
前述の通り今回は遙がいじめに遭ってしまう場面があるのですが、
それに対する反応ってのがどう見ても小学生のものじゃないです。
主犯も原因もわかってるのに特にどうにかしようってわけでもないし、
むしろダメージを負うと言うよりも呆れてる風にも見えるんですね。
やはり真一って心の支えがいるからでしょうか。
結局その気になった後はあっという間に自己解決してしまうくらい。
いじめに対する反応もそうだけど、そろそろ嫁モードになりつつあるのもまた然り。
真一に晩飯作るどころか、仕事するなら呼ばない方がいいかなんて聞いたり、
気遣いレベルが半端じゃない。
曽根原さん曰く『召使い』とのことだけど、これはむしろ『通い妻』と言います。
あるいはメイドとか。

加えて真一に説教されても優しさと捉えてしまうポジティブさ。

兎にも角にも遙△、あんたはマジで強かった。
そろそろ10歳ってのが年齢詐称なんじゃないかって思えてきました。
実は何度か真一が見た成長した姿の幻覚の方が本当の姿なんじゃないかってくらいに。
歳の差恋愛って一種のファンタジーですから、
身体は子供、頭脳は大人なんてちょっとした魔法みたいなことがあるかもしれないんだ。
いじめっ子転じて友達への変わり身の早い曽根原さんも相当なものだけど、
遙も相当に強かですね。
何と言っても極めつけの帯書きにも書かれている『私が守る』発言がありますから。

真一のためなら何でもやりそうだぞこの目は・・・
唐突に真に受けた真一が遙にあんなことやこんなことを強要するような、
薄い本を読んでみたくなっちゃったじゃないか!