希望と絶望の狭間で彼女が願ったものとは・・・ 『魔法少女まどか☆マギカ』 3巻

魔法少女まどか☆マギカ (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

魔法少女まどか☆マギカ (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

ソウルジェムが魂そのものである事実を知らされて以来、
世の中を呪うようになったさやか。
浄化されずに穢れきったソウルジェムはやがてグリーフシードへと変貌し・・・
アニメ版の放送から一ヶ月、本単行本としてはあの震災翌日から二ヶ月半。
延期もあって待ち望んだ完結編がついに登場です。
実際の放送時は例の謎の白い液体のせいで、
話の内容もあまり頭に入らず、むしろあのCMがツボってしまって、
大爆笑しながら見ていた身ではあるのですが、
こうして改めて思考をクリアにして見直すと、
本当にすごい作品だったんだなと実感します。
単純なアニメ版のコミカライズではなくて、
あくまで同一の脚本を基にしたもう一つの形の本編と言う事もあり、
放送されたときの内容とは微妙に表現が異なる箇所も見受けられながらも、
総じていい形での独自描写となっているので、
こちらはこちらで読んでいて寒気がするほどの衝撃を受けました。
ぃゃ、まどかと言う作品を差し引いても、
普通にコミカライズ作品として屈指の出来なので、
漫画と言う形だからこそのアニメ版と異なる描写を比較してほしいと言う意味でもお薦めしたいです。

しかしカバー下が戦隊もの的なノリで来るとは思わなんだ。
てっきり謎の白い液体ネタで来ると思ってたのに・・・
さすがに関東ローカルネタであることと、CMネタってことでNGだったのかな。


展開は放送時と基本同じながらも異なる描写の数々。
9話目の杏子とオクタヴィア(魔女さやか)の戦闘からして、
全然別物と言えるほどの激戦っぷりが描かれてます。
車輪メインだった攻撃手段が剣メインとなったことで
流血と杏子のボロボロ具合が増幅されて、
如何に絶望的な戦いだったのかがわかりますよ。

この戦闘シーンはBGMが好きすぎて何回もリピート再生こともあって、
特に思い入れの深いシーンだったりもします。

戦闘以外では何と言っても最終回のほむらのビジュアルに大胆な改変が。
まどかのリボンを譲り受けて、それを以後身に着けているところまでは同じですが、
髪型がまさかのツインテールになってます。

よく見ると私服もまどかが魔法少女になったときのものに似てるし、
長さこそ違うものの、同じ結び方としたことで、
ほむらがどれだけまどかに依存していたのかってことですよね。
三つ編み⇒ストレート⇒ツインテールとの三段活用が非常に素晴らしいのでした。
そして放送時には描かれなかったラスト3ページ。
これを希望と取るか否かは解釈が分かれるところではありますが、
ささやかな幸せが見てて無茶苦茶切なくなりました。
勿論変化のない場面も媒体を変えたことで趣が異なります。
重苦しい展開の中でもリリカルな空気を運んできてくれた、
一周目の世界でのまどかの『内緒だよっ☆』もそう。

自らの手で魔女化する前のまどかを葬った三周目の絶望っぷりもそう。

最終回において女神まどかが魔女の自らをも消し去る
『絶望する必要なんてない!』もそう。

こうして見ると本当に終盤は名場面ばっかりだったんだなぁ。
ほむらの絶望に染まった表情も一層重い空気を増幅させてますわ。


アニメと漫画、どちらの媒体でもとにかく外道っぷりがぶれていなかったQBは、
さすがQBと言わざるを得ません。
今回は既に開幕からして表面を取り繕わず、
大半が全力で本性出しまくりな表情がメインなこともあって、
完全に存在そのものが悪ですよこいつぁ。

効率よくエネルギーを回収するためにはまどかと契約することが一番だからと、
一切の躊躇なく杏子を捨て駒にするとか、
このド外道がァァァァァーーーーーッッッッッ!!!!!
こんな本性知ったら誰だって契約なんかしようと思う筈もないのに、
我関せずと執拗に契約を迫るのは嫌悪感を通り越して恐怖すら覚えるわ。
アニメ版での能面みたいな無表情にしても、こちらの極悪スマイルにしても、
間違いなくQBは歴史に残る悪役キャラですね。
キャラのぶれなさ具合ではマミさんも然り。
今となってはマミられた例のシーンすらおいしいと思えるくらい、
ネタキャラ街道を突き進んでいる気がしなくもないマミさんですが、
まどかと共闘してティロ・フィナーレをぶっ放すノリノリ具合や、

ジェノサイドモードに突入したときのご乱心っぷりと、

さすがはマミさんと言いたくなります。
(と言うか、1巻のフィロ・フィナーレは誤植だったのか)
普通に考えたら絶望的なシーンなのに、
何でこうもネタに見えてしまうんだろう・・・
マミさんが厨二キャラで完全に定着してしまう元凶である、
『円環の理』発言は割とさらっと流されてしまってるのがちょっと残念なところ。