同情だけでは止まらぬ想いが動き出す 『これは恋のはなし』 2巻

これは恋のはなし(2) (KCx)

これは恋のはなし(2) (KCx)

世間の目と体面と相手のことを思ってこそ、一度は遙のことを突き放した真一。
遙の境遇を自分と同じだと悟って改めて受け入れ、
気が付けばそこにいる生活が自然なものとなっていたが・・・
31歳小説家と10歳小学生、親子くらいに離れた歳の差恋愛劇と、
あまりにも禁断の関係過ぎるテーマからセンセーショナルな衝撃を与えた1巻から一ヶ月。
二ヶ月連続刊行にて早くも第二巻が登場です。
やっぱ内容が内容なだけに、一刻も早く続きが見たいですからね。
連続リリースは嬉しい限りです。
そんな今回は仕事でほとんど家にいない遙の父親に関する話を主軸として、
親子のあり方や家族の形、いつかは訪れる今の状況の終わりについて等、
やはり非常に重くも切なく、なのにどこかが愛しくて苦しい思いに溢れていました。

ぅーむ、単純に結ばれてよかったねで終わるとも思えない。
どうしてもバッドエンド的なものしか想像できないのだけれどもどうなることか。

自分自身、真一と同年代なものですから、
今の関係を恋愛とは捉え切れていないのですが、
本当に成立し得ると言うのであれば、最後まで見届けたいですね。
例えそれがどんな結末を迎えるとしても・・・


例えロリコンと呼ばれようと、遙が愛しくてたまらない。
元々回を増すごとにどこか魂の抜けた人形のような印象から、
歳相応の少女らしい様々な表情を見せてくれるようになったわけですが、
今回も全体的に表情が柔らかくなってきていてですね。

嗚呼ほっぺをぷにぷにしたら気持ち良さそうだなとか、
そう思えるほどにいい顔をするようになりました。
どんな形であろうと、家に来て食事まで作ってくれるなんて最高じゃないか。
ままごとなんてレベルじゃなくて普通に『食事』だし、
遙お手製のハンバーグを食べてみたいと思いますわ。
さりげなく自分の年齢ってものを意識していて、
真一と杉田が大人の女性について話しているのを聞いて、
自分の胸を見て落ち込むとかリアクションが可愛すぎる。

こんな娘だったら養子に欲しいなぁ。
ロリコン?上等!
ただ、恋愛対象として見られるかどうかとなると・・・
そこが本作における主題の一つでもありますから、
やっぱり難しいところですね。


父の想いと娘の想い、そして真一自身の想い。
全員が全員違う考えを持っているので、話は複雑化する一方。
今回遙の父親が初登場となったわけだけど、
もし自分の親父殿がこんなだったら親を親と思わないで育ってたかも・・・

この父親なりに考えてることはあるとは思います。
が、どうにも人生に疲れた男が何でもいいから頼れるものは頼れって風なのがですね。
初期の遙みたいに目が死んでるし。
さすがに真一も見兼ねたのか、珍しく激昂するような熱い一面も見せてます。

やはり自分自身親の愛情に飢えてるまま育ってきたからってのがあるのかな。
父親絡みのくだりを見ると真一が遙に抱いている感情は同情以外の何物も感じられず、
だからこそ次第に恋愛感情としての思いを募らせてゆく遙が不憫に見えてきて・・・
今の状況が普通となって、心地いいものと感じ始めているのに、
まだ年端も行かぬ小学生だからいつかは親の元へと帰る、
いつかは終わりが来ること前提で考えてますからね。
真一自身一体どうしたいのか掴み切れてないんだろうなぁ。
そして遙の明確な好意を好意として気付いてしまったことが、
これから先の真一にどのような影響を与え、最終的にどのような選択をすることになるのか。
真一が時折遙に見る成長した姿の意味するところを含め、
禁断の領域にいよいよ足を突っ込み始めたこれからが気になります。