世の未婚肉食女子に幸あれ 『つくねちゃん+30』 1巻

つくねちゃん+30 ? (バンブーコミックス)

つくねちゃん+30 ? (バンブーコミックス)

人語を解する謎の鳥、つくね。
世にも珍妙な生物と共に暮らすキャリアウーマンの都は
30歳独身、彼氏も結婚の見込みもなし・・・

一見すると動物もののように見せかけて、
その実は仕事に生きる独身女性たちの悲哀に満ちているようで満ちていないような、
題材としていいのかと思ってしまう代物でした。
よく年収1000万希望だとか、寝言も大概にしろと言いたくなるようなのがいる現実ですが、
むしろ自分が稼いで養うから誰でもいいから相手が欲しいって本作の女衆はすごいわ。

こっちはこっちである意味見境なくなってきてるけど、
やっぱ結婚願望があればあるほど、歳を重ねれば重ねるほど、
段々とこうなっていってしまうんでしょうかね。


本作のメインであると共に、とにかくたくましい女性陣。
確かに登場キャラに女性は多いのですが、
主人公の都がキャリアウーマンであることと、
普通に会社のシーンが多い関係上、十の位が1なんてキャラは存在しません。
2とか3とか限りなく4に近い3とかそんなのばっかり。
一番若いのですら新入社員23歳ってくらい徹底してます。
ぃゃ、23って年齢がリアルにすごく若いと感じてしまうあたり歳取ったなぁ・・・

自分も三十路ですから何となくわからないでもないと思う半面、
肉食のがっつきっぷりってものは凄まじいなと思う次第。
昨今の世の中生きて行くにはこれくらいの力強さがあるべきなんですかね。
しかしこの歳になると色々と行動も色々大胆になりますね。
自分の趣味全開の隠し芸を披露したりジャージ姿でママチャリサイクリングに出てみたり。
これがまた妙にリアルだから困る。
実際に年子の姉貴を見ていた身としては思い当たる節がいくつもあるんですよね。
ぁー確かに家の中では完全に私服状態でジャージ着てたわ。
歳取っていいと思ったことの一つが可愛いと思える年齢の幅が増えたことでしょうか。
とりあえず律子29歳は可愛いと思います。


基本は三十路女のあられもない生活を描かれているものですが、
それをコメディ作品として際立たせているのがつくねの存在。
確かに存在と生態は何から何まで謎だらけなのですが、
こういう謎生物系のメインパターンであるボケ役としてではなくて
むしろあらゆる点において結婚願望を見せ付ける都のツッコミ役な立場が多く。
そして手痛い反撃を食らうと言った不憫さが光る流れが確立されていて、
いなければ本当に年増女の生々しい光景ばかりのとてつもない話になってたところです。
ある意味本作における一番の常識人(?)なところもまた妙。
かなり空気も読んでるし、本当に見た目によらないわ。

一方で互いに互いのことを大切に思っている絆の強さを窺える場面もあり。
荷物と間違われてさらわれてしまい、必死で取り戻そうと奔走、
最終的に無事再会できたくだりはけっこうくるものがありました。

やっぱこういう関係だからこそ、普段のどつき漫才のようなやり取りが光るんだなぁ。
もう飼い主とペットなんて間柄ではない、もっと違う何かですね。
つくねが人間だったら相性ぴったりかも。