お昼の学食、そこは学生たちの戦場にして憩いの場 『激戦区・ツンぷに食堂』 1巻

激戦区・ツンぷに食堂(1) (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)

激戦区・ツンぷに食堂(1) (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)

学食長の凛子とワケあり従業員の詩乃の二人が働く
どこにでもあるようなごく普通の学校の学食。
そこは若い思春期世代ならではの食欲と恋欲あふれる戦場でした。

学食に限らず食堂と言ったらパートのおばちゃんがやっているのが相場ですが、
そこをあえて若い女の子にしてみたらこうも愉快な学食コメディとなりました。
キャラの魅力もさることながら、食べ盛りな世代ならではの学生パワーがすごいです。
自分は学生時代、弁当派だったので実際にこういう経験はありませんが、
確かに当時の購買派の争奪戦は見ていて凄まじかったですからね。
三限終了後に購入・予約するためのラッシュと、
四限終了後に前もって支払いしていた分を受け取るためのラッシュと。
同じ食堂でも行列は整然として秩序が成り立ってる社食とはやっぱ違うなぁ。
(複数人数で行く場合、席取りは激しいですが)
学生たちのみならず、学食員たちもいい感じに暴走していて素敵にカオスです。


文字通りの戦場な学食だけれども、
逆にイベントとかも満載なところもまた学食ならではですね。
色々とあらぬ方向に突っ走っていつも大変なことになっているけれど、
ただ授業を受けて大した盛り上がりもない学校生活の中で
毎日がこんな昼食タイムだったら飽きないです。
でも流しカルボナーラは勘弁な。

バラエティ色豊かな本編以外にもこれまた濃い読み切り4コマも同時掲載されていて、
インパクトは本編に負けてません。
マッチ売りの方にはどこかで見たことのあるキャラも出てきてますし。
ぅーむ、この路上詩人さんって以前氏が描かれていた『丼ぐり』の詩人さんと同じ?

ともすれば本作の本編にパーティーズの連中とか出てきたりすると・・・危険か。
でもリアルシーフが逃げ込んできて冷蔵庫の中を食い漁るとかってのはできそうかも?


日々戦場と化す学食で働く二人の猛者、凛子と詩乃。
本作のタイトルが示す通り、見事にツンとぷにですね。
凛子さんは基本一切デレなしの10割ツン・・・と言うかドSっぽいかも。
男子学生諸君を新メニューの実験台にしたり、
強引なイベントを打ち立ててぼったくってみたり。

かと思いきや重度のショタコンで一目見るや超えこひいきの大暴走。
実際にいたら危険なタイプではあるけれど、
こういうイベント盛りだくさんな食堂は楽しそうです。
一方の詩乃は15歳と学生たちより基本年下なのにもかかわらず、
学食で働いているワケありさん。

進学せずに働いている理由とかは今はまだ判明していないものの、
そのうち明かされることになるんでしょうか。
基本ギャグテイストのコメディな本作だから、
理由次第によってはいきなり違う雰囲気の話になりそうではありますが。


男子学生の人気を二分しているこの二人。
どっちが好きかと問われれば、第三の選択肢を選びます。
父親が某パン工場のおじさんにそっくりな購買のパン屋の娘・綾香さんもいいのですが、
やっぱり女子学生代表のななみさんです。
詩乃派の男子・誠一郎の幼馴染にして、どうやら好きらしい雰囲気を漂わせ、
誠一郎の後を追うようにして学食常連になってしまっている経緯とか可愛いじゃありませんか。
しかしななみさんと言ったら何よりもその巻き込まれ体質。
初登場の回からしイチゴ牛乳を頭からひっかぶってしまい、

パフェを食べれば学食犬の嘗め回しによる濃厚なキス。

いつの間にやら手伝わされていることもあるし、
実にいい巻き込まれっぷりですね。
その体質と数少ない女子学生キャラってこともあって
準レギュラーとしての座に落ち着いているのはちゃっかりしてます。
色々と特徴の濃いキャラは数多くいるけれど、
最終的にはこういうごく普通の一般人なキャラにこそ落ち着くのかもしれませんね。


ちなみに、本作のカバー下には最近の流行を把握したちょっとしたものが。
ええ、最近流行ってると言ったらそう、ラー油です。
あんまりスーパーとかは行かないからわからないけど、
いつ行っても売り切れで全く供給が追いついてない状況みたいですからね。

おかずラー油は食べてみたい、でも買えないから食べられない。
そんなニーズに応えるべく自家製ラー油レシピなんかが載ってますので、
材料も比較的簡単に手に入るものが多いし、割とお手軽な感じなので
料理ができる人であれば実践してみるのも一興かもしれません。
ただ、当然のごとく油と火を使うので、そのあたりは自己責任で。