執事少女とお嬢様 1巻

執事少女とお嬢様 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

執事少女とお嬢様 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

主従関係から始まる百合もある。


お人好しが唯一のとりえにして、底なしのドジである主人公・ひなた。
突如として億単位の借金を抱えることとなったために両親は海外逃亡してしまい、
残された身を保障するために理事長より提示された条件とは、
クラスメイトにして理事長の妹であるお嬢様・沙綺の『執事』になることだった・・・

きららが誇る百合マイスター・真田一輝氏による最新作は、
執事をテーマとした主従関係百合ストーリーでした。
しっかりと百合はしているのですが、やはり経緯と立場の関係からでしょうか、
最初からガチでベタベタしているものではなくて
頑なな心を少しずつ開きながら互いに歩み寄っていくような
ヒューマンストーリー的な一面も持ってますね。

それでいて執事服と言う男装をイメージする服を着ていながら
男性的なイメージはほとんど漂わせずに、
それ以外の服を着ている場面も多くてしっかりと女の子していると言う、
女性同士である基本は忘れていません。


執事の女性キャラと言ったら、どちらかと言うと格好いいイメージを持っていました。
その先入観を取り払ってくれたのがひなたです。
執事服もメイド服も両方似合いそうな和美人的な外見に反して
ドジでお人好しで、そして何よりもひたむきで。
沙綺のことを好きになろうと、好きにさせようと努力し、
関係がうまくいかずに悩んでみたりと、
非常に可愛らしくも人間臭さを持った主人公らしい主人公って感じなんですねこれが。
ちょっとしたトラブルで酒が入ってしまうシチュエーションはよくあるけど、
それでドSキャラに豹変した黒ひなたもなかなかに捨て難いものがあります。

ぉぅぃぇ下克上。
たまにこういう風にどっちが主なんだかわからなくなる構図がたまりません。
たぶんそう思うこと自体がSっ気がある証なのかもしれませんけどね。
本来主の側である沙綺もこれまたいろんな面を持ってます。
学校や社交的な場では猫をかぶり、屋敷ではちょっとわがままな気丈キャラに。
しかしてその実態は姉を溺愛する重度のシスコンだったと言う・・・
うん、実にお嬢様らしいお嬢様キャラしてますよ。


百合作品である基本スタイルに則って、作中に様々な形で表現される愛。

何気によく見てみると、登場する主要キャラのほとんどが
誰かに対して『愛』ってものを持ってるんですよね。
主従愛であったり、姉妹愛であったり。
●●は××のことを愛しているから■■のことが疎ましいとか、
なかなかに入り組んだ関係が絡み合っているので
人物相関図とかあったら面白そうです。
ひなたと沙綺が中心となっているわけだけれども、
どっちも他の誰かに過剰なまでに愛されてたりしますし。
ひなたのことが好きな元ルームメイトの麻衣に、
自称・沙綺の許婚な空子(許婚を自称してるけどしっかりと女性)とか、

本気で奪いにかかってくるような多角関係的な展開に期待です。