がんばれ!消えるな!!色素薄子さん 2巻

がんばれ!消えるな!!色素薄子さん 2 (IDコミックス REXコミックス)

がんばれ!消えるな!!色素薄子さん 2 (IDコミックス REXコミックス)

人生とは、自らの存在価値で決まるのではない、受け入れることで決まるのだ。


パッシヴで影の薄さを発揮し、
存在感の薄さでは恐らく某ステルス麻雀の人以上と言う、
史上最薄存在感の主人公が織り成すほんわかする生活も2巻目。
今回は薄子の存在感をそのまま吸収して生まれてきたかのような兄貴が準レギュラー化したり、
そんな兄貴の濃造に雲子さんが恋をしてしまったり、
何と言っても同人誌版でレギュラーであった助手さんが新たに新キャラとして参入と、
主だった面子が出揃ったって感じですね。
とは言っても基本は何気ない日常を何気なく描き、
それを何気なく眺めることで何気なく暖かい気持ちになれるハートフルな内容は一貫してます。
この『何気なさ』ってものを空気をするかのように自然に感じられるので、
すんなり入り込めて感情移入できる素敵さがありますよ。


そのあらゆる薄さが売り(?)の薄子さんですが、
今回はむしろ確かにそこにいるんだと言う存在感を大きくアピールしてますね。
画子と雲子さんの喧嘩に割って入って叱り付けたり、

自らに嫌悪感を覚えている一人の少女へ対して、
視野を広げることと、あらゆることを楽しむことを教えてみたり。
このあたりの人生観はかくありたいものですよ。
どうにも忙しい状況が続く仕事をやっていると、
『今』を楽しむ余裕もなくなって、自分がただ作業をしているだけの
機械と何ら変わらないんじゃないかと思ってしまうこともありますから。
その状況にあることを憂いて否定するのではなくて逆に受け入れること。
受け入れることで見えてくる『色』があると言う事。

そして楽しむことができるようになる頃には、
自分の笑顔がまた別の人の笑顔に繋がっていくこと。
うん、ある意味人生そのものですよね。
何もかもがめまぐるしすぎる現代だからこそ、
本作で得た教訓を頭の片隅に置いて過ごしていきたいところです。
特に画子の自分の悪い面をも受け入れる寛容さ。

単純にして難しくもあり、人間が人間であるために必要である要素が集約されてるともいえます。


周りの人たちの存在感は薄子さんの存在感を食うことで成立しています。
そう言っても間違いないのではないかってくらい周りの人ってキャラが濃いですね。
名前も濃ければ豪快さも濃い兄貴が大学内で見せた意外な好青年っぷりとかびっくりです。
画子の両親なんてそれ以上に濃すぎる上に暑苦しい存在でしたし。
書道家に料理研究科に画家が山で何を修行するんだ何を!
登場するなり薄子さんを研究対象にしたがったり、

生物学科の巨大蛙の生みの親だったりと怪しさ全開な助手さんもいますが、
やはり個人的に推したいのが雲子さん。
濃造に惚れてから一気に恋する乙女モードに突入してえらく可愛くなりました。

1巻が出たときに一部書店で開催されたサイン会では
あろうことか誰一人雲子さんをリクエストすることがいなかったとのことですが、
今なら即答でリクエストする!圧倒的にする!