なずなのねいろ 2巻

なずなのねいろ (2) (リュウコミックス)

なずなのねいろ (2) (リュウコミックス)

打ち明ける勇気、先へと進む勇気。


部活動ものでもあり、音楽活動ものでもありながら、
取り扱っている題材が三味線と言う、非常に渋いチョイスな2巻目。
今回は実際に演奏して云々ではなくて、
むしろこれからの活動に対する目標と方針とで悩むことがメイン。
なずなの身体のことにも関わる過去の話もあって、ちょっと重めな雰囲気でした。
でも今回のことがあってこそ、今後の本当の意味での活動が始まるのかな。
この先、もっと悩むことが出てくるのかもしれませんが、
きっと前へ進むことができるんだ。


天才的資質を持っていたがために抱えてしまったトラウマと悩み。
姉との関係がうまくいっていないなずなの態度に隠された過去とは、
ひたすらに暗い展開続きでした。
どう見ても小学生にしか見えないロリ体型には
こんなにも大きな重圧がかかっていたなんて・・・
適度なストレスは成長を促進させるらしいですが、
逆にあまりにも過度なそれは逆に成長そのものを止めてしまうのでしょうか。

身体のみならず、心も何もかも凍結したまんまってことだよなぁ。
両親の元から親類の元へと所在が変わり、
楽しく弾いていたものから礼節から始まる作法への形式の移り変わり。
そして起こってしまった事件。

11歳の子供が立て続けにこんな事象に出くわし続けたらそりゃどこかにトラウマのようなものを覚えますよ。
そもそも件の事件にしても、割れた額、返り血の付いた着物と三味線。
事件後にあらゆる時間が止まったなずなと同様に自責の念に駆られ続ける姉。
弦が切れただけでこんなになるなんて考えられないから、
やはり・・・そういうことですよね・・・


言葉に出さなければ伝わらないモノ。
何か登場人物の誰もが言いたくても言えないものを持ってるんですよね。
なずな然り、沢田先輩然り。
時間は有限ですから、そのまま隠していたら結局最後まで何もできずに終わってしまうものです。

まして学生時代なんて過ぎてしまったら一生取り戻せないもの。
だからこそ勇気を振り絞って言うべきことは言わなければならない。
わかる、わかるんだけど・・・自分はそれができなかった方だから・・・
このあたりに関してはとにかく橘さんが大活躍です。
自分が関わっている相手である、なずなに沢田先輩にそのバンド仲間にと積極的なアピール。

言いたいことをここまで言える人間になりたいですよ。
普通に可愛いけど、それ以上に人間的な憧れを抱きます。
そんな後押しもあって最後にとうとう姉に対して三味線部のことを告白したことで、
なずなの止まっていた時が動き出すのでしょうか。