そばもん 1巻

そばもん 1 (ビッグコミックス)

そばもん 1 (ビッグコミックス)

まさに蕎麦のウィーン少年合唱団やー。


主人公の稜は日本全国を飛び回って各地で腕を振るう蕎麦職人。
行く先行く先で様々なトラブルに巻き込まれて・・・
この手の題材を取り扱った作品であれば、ラーメンなら数多くありますが、
蕎麦をもってくるところが非常に渋い選択であり、新しい発見です。
大雑把に分類してしまうと同じ麺類と言えなくもないけれど、
その実、全く別物であると言うことがよくわかります。
どちらかと言うとうどん派である自分であってもこれは心変わりしますよ。
今度どこかの老舗なり、ちゃんとした店のものを食べに行ってみたいな。
蕎麦と言うと立ち食いとか高速インターの天ぷらそばばかりの身なもので。
とりあえず、タイトルがそれっぽいけど、ポケモンとは一切関係ありませんのであしからず。


作品自体が蕎麦のことに特化しているだけあって、蕎麦に関する様々な知識が得られます。
系統別による蕎麦の特色、天ぷらそばの天ぷらと単品で食べる天ぷらとの違い、
薬味のネギの何たるかに作り方のみならず食べ方についてもあり。
誰もが疑問に思うであろう『ざるそば』と『もりそば』の違いについても、
海苔がかかっているか否かの大雑把なものではなくて、
歴史的背景からちゃんと説明してくれてますし。
かけそばの『かけ』が『ぶっかけ』の略だとか、
普通に客として食べているときにも疑問に感じることも解説してくれて痒いところに手が届きます。
藪、砂場、更科、それぞれの違いを堪能する食べ歩きをしたくなります。


根本的にグルメ漫画の部類となるが故の宿命でしょうか、
時折出てくる大袈裟とも言える表現の言葉がある意味らしいです。
『幸せな熟年夫婦のような味』だの『ウィーン少年合唱団』だの。
やべぇ、少年合唱団とか崇高すぎる。
所詮そば、されどそば。
実際に店でこういう表現をしたらたぶん引かれるので気をつけましょう。