おちけん

おちけん (アクションコミックス)

おちけん (アクションコミックス)

ここいらで落語の噺でも一席。


才能も実力もあるが、人前に出ると喋ることができなくなってしまう茶子。
噺家の師匠を祖父に持つが、噺は全く下手で、自分自身それに気付いていないマチ子。
こんな二人で構成された立川大学落語研究会
勧誘した新入生のアンナは口数は少ないものの、口を開けば津軽弁丸出しで・・・
全員が何かしらの問題を抱えた三人が部の存続を賭けて日々成長していく落語4コマ。
4コマで落語ってのは非常にミスマッチですし、奥深い世界なもんですから、
実はかなり扱いが難しいジャンルだと思うんですね。
最近では若い世代の間でも落語が静かなブームとなっているようですし、
そこにあえて挑戦した意欲作と言えるのではないでしょうか。


作中に出てくる噺も『寿限無』『時そば』『饅頭こわい』『目黒のさんま』のように、
誰もが一度は聞いたことのあるような定番が多いので、
落語を一から知る意味では入門書としてもいいかもしれません。
実際に演芸場での公演でこう言った古典落語は最近あまり見かけませんけどね。
自分自身、上野の鈴本演芸場に何度か足を運んだこともありますが、
けっこう時事ネタなんかも取り扱っていて、噺の世界も進化してるんだと感じましたから。
最早年寄りの娯楽ではない、それだけは間違いなく言えるでしょう。


特に茶子には非常に重い家庭事情があったりもして。
両親は離婚、母親と生活しているが、仕事が忙しくて家にはほとんどいない。
結局作中に出てきた母親は食卓の書き置きだけの存在でした。
そんな家庭状況だからこそラストの大会で選んだ演目は・・・
オチに言葉遊びはあると言っても、ただ笑わせるだけの話だけではない、
それ以外のジャンルに及ぶ話もある、『噺』の奥深さってものを教えてくれました。
勿論、メンバー全員、それぞれの弱点をどう克服していくかにも注目。