特別法第001条 DUST

働かざるもの、島流し


2012年、未曾有の経済危機による財政難に対し、
増加の一途を辿る非労働者、俗に言う『ニート』。
このニートを駆逐するために特別法第001条、通称『DUST法』が執行された・・・
一言で言ってしまうならばこの法案、ニート島流しにする代物です。
時代背景も今の日本社会そのものだったりするので、実にリアルすぎて怖い。


一応住居はあるものの、基本無人島ですから、生きるためには自給自足。
と、ここまでならテレビとかでもあるただの無人島生活です。
当初はニートが駆逐されるならと思っていたものが、
段々と島流しにした人間をおもちゃ扱いして楽しんでる執行機関の汚さが見えてくるんですよね。
同じ島の他のポイントに別のグループを配置したり
わざと拳銃を置いておくことで潰し合いを扇動したり、
逃がす気は最初からないくせに脱出の手段だけ用意して容赦なく殺したり。
そんな状況だから運命共同体だった一同の結束も、次第に分裂していって・・・
残ったメンバーの間でできた子供すら国に取り上げられ、
それが最後は皮肉な運命を迎えることになり。
『ゴミ』同士の間に生まれた子供は国に『人間』として育てられたけれど、
果たして彼にとってそれは幸せだったのでしょうか?


法の穴と言いますか、この法案の最も汚いところは
島流しの対象は『18歳以上の未就労および未納税者』であることです。
ええ、表向きにはニートを駆逐するものに見えますが、
実際にはそんなこと一言も書かれてないんです。
身体的な問題から働くことができない人間すら対象になってしまうわけですから。
まさにそれに該当したヒロインの真由は国に殺されたと言ってもいいですね。
最初から働く気のない者は問題外ですが、
そうした相手をゴミ扱いする目で見るってことは、
ある意味執行機関の連中と同じことをやってることになるんだよなぁ・・・
法案名の略称からしてダスト(ゴミ)ですからね。


ニートとそれに関する社会問題を題材にした作品ってのは他にもあるものの、
いろんな意味でヤバさは本作が飛び抜けてるのではないでしょうか。