暴れん坊少納言

暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス)

暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス)

天才とは総じて変人である。


新感覚清少納言物語。
毒舌で性格悪かったという説はありますが、それを超越してとにかく殴る!蹴る!物を投げる!悪戯して走り回る!
色紙蓑虫遊びをするわ飯食いながら本を読んでページは箸でめくるわととにかく豪快にして漢。
『いとツンデレなり』の肩書きも何のその、9割ツンでまさに暴れん坊。
後に結婚することとなる橘則光も柱に使う角材を一人で持ち運ぶ、野党を一人でのす、
竹をテーマにした風流の表現で詩が詠めないからと刀で竹を『縦に』真っ二つにするなど
これまたわかりやすい筋肉バカなキャラでその世界を引き立てます。
こうして書くと暴力女と暴力男のドタバタ劇に見えますが(実際そうですけど)、
さすがは詩人、随所に風流の心と和歌がちりばめられています。


とにかく思い切ったアバウトな表現として好印象を持てたのが名前のない汎用キャラの扱い。
男も女も関係なくあっちを見てもこっちを見ても出るわ出るわのオカメ顔。
中途半端な脇役として位置付けるくらいならいっそのこと全て背景と割り切ってしまえ的な潔ささえ感じます。


後半に少しだけ藤原香子(紫式部)も出てきたりしますがこっちもちょっと不思議系入った性格をしていて
天才とバカは紙一重、違う感性を持ってるが故に皆変人であるという点を表してるなと。
最終的に源氏物語に影響されて自分はこういうののがいいと考えた末に枕草子を書き上げる結末で
そういった意味でも出番は少ないながらも作品性・性格と対照的に描かれていたと思います。


毒舌でとにかくストレートにして豪快な清少納言をご賞味あれ。