最悪への雪玉は転がり始める 『魔法少女プリティ☆ベル』 11巻

ようやくニャルラトホテプを追い詰めたかに見えた攻撃部隊。
しかして事は一転して破滅への道へと向かうこととなり・・・
クトゥルフ神話に政治にと、
ネタの方向性が普通じゃないと言う意味では右に出る者無しな本作。
気が付けば11巻目のロング連載へとなってきましたが、
やべぇって言葉で表すにはとてもじゃないけど足りないほどに大変なことになってます。
追い詰めたかのように見えてそれも策の一つだったりして、
柳の葉でも突いてるようなモヤモヤ感溢れる戦況と均衡。
それがついに崩れる時が来ました。
考えうる最悪の形で・・・

ぃゃ、帯からして「巨星堕つ」とか、
世紀末覇者が死んだ時を連想させるキーワードが書いてあるもんだから、
これは敵の総大将か魔王の誰かが死ぬなって直感すると同時に、
すごく嫌な予感はしてたんですよ。
見事に予感は的中しやがりました。
本作読んできて今回一番鬱になったかもしれんわ。
本当にどうすんのよこれ?
戦況的にも戦力的にも絶望しか浮かばねぇ・・・

敵自身さえも絶望するほどの詰み状態から一体どうなってしまうのか。
今度こそ混沌との決着が付いてくれるのか否か。
恐らくこれからもこちらの予想を悉く裏切ってくることでしょう。


王手は一転して詰みとなる。
前回ラストでようやく本物へと到達して、
やっと決着が付くのかなーなんて思っていたこともありました。
が、そんな簡単に事が片付くなんてバーぴぃ作品を甘く見ておりました。
確かに投入でき得る最小にして最大戦力で攻め入ってる時点からして、
死亡フラグっぽいものも漂わせながらも、
殺しても死なないような連中ばかりだから、
よもや万一にもそうなることもないだろうと見ていたら・・・

ぇーと、嘘だと言ってよバーニィ
実は敵も味方も全て欺いて死んだふりをしてるとか言ってくださいよ!
ねぇ!ジロウさん!
開幕から最悪の事態になっちゃってたりするし、
以降は沈黙していた天界の動向まで明らかになってきたし、
王手をかけたかと思っていたら盤面を引っくり返されて逆に王手をかけられていた。
指導力のあるトップを急に亡くした国が一体どうなるか。
今回の展開を見てると非常にわかりやすすぎるのがまた怖い。
イタカさんがあまりにも痛々しくて見てられない。

毎度の事ながらガチの政治ネタを絡めてくるからなおのこと。
民主主義とは何か、馬鹿に馬鹿を自覚させる方法とは何か。
絶望的な展開の中でもしっかりと理論を展開するあたりはさすがです。


出鱈目をねじ伏せる出鱈目は既に世界崩壊レベル。
最初からラスボス、最初からLv99。
一言で言ってしまえばチート級のキャラばかりの本作において、
気が付けば他の追随を許さないほどの無茶っぷりになってきたのが綾香ちゃん。
ステータスをALL99にしようとしたらいつの間にやらALL999になっていた。
成長的な伸びしろがあるとまったくもって大変なことになっちゃうもんですね。
実際どうすんのよこれ?
今までも追い詰めたかと思えば偽者だったり、
今回も明らかに勝ち目がない状態から形勢を逆転させたり、
完全に主人公補正が入っちゃってるもんだから、
他のどの魔王よりも倒せるヴィジョンが浮かばないんですが・・・
チートとかジョーカーとか、そういう言葉で表現できるレベルじゃなくなってきました。
確実に収拾付かなくなってきてるわけだけれども、
はてさて一体どのようにして事態を収束させるんでしょうかね。
と言うか、さすがにやりすぎだろ。
倒すんじゃなくて、本人に本当の敵が誰かを自覚させることしか方法無いんじゃ・・・
それはそれで取り返しの付かない事実を突き付けることになるわけだから、
並大抵の少女だったら自我が崩壊してもおかしくないですがね。
騙されていたとは言え、ジロウ殺しに加えて現在進行形で世界を破滅させようとしてるし。

ライバル魔法少女の存在はお約束だけれども、
無茶苦茶すぎて見ててつらくなってきた・・・

便りが無いのは無事な証拠とも言うがこういう場では逆に何かあったと思われざるを得ない

前回更新したのが7月末で色々とどうしようもないなこれは。
どうしてもものを書こうって気が起きなくて、
このままフェードアウトしてしまうのではないか、
自分一人ひっそりといなくなっても、
世の中には何も変わりないならそれもまた由か。
と、解放されたはずなのに前の作業からの呪縛が残ってるような気分で、
全ての歯車が噛み合ってない状態が続いてます。
むしろ今までよく毎日続けてこられたなと思うくらい。
こんな状態なのでどうしても頻度は下がりますが、
気が向けば出没するのでお付き合いいただければと。


約半月ほどの空白の時期の間には夏コミがあったり、
一度PCのBIOSが吹っ飛んでCMOSクリアする羽目になったりと、
これはこれで色々あったりしました。
結局PCは来年にはXPのサポートも切れるしちょうどいい機会なので買い換えることに。
購入したパーツは明日には届くので週末は組み立てとセットアップで終わるかも。

守る相手がいるから戦える 『RATMAN』 12巻

さらわれたミレアを助け出すため、
シンとの最終決戦へと向かったラットマン。
圧倒的な力と対峙する中、
一つの絶望は巨大な災厄へと変貌し・・・

真のヒーローとは、正義とは一体何なのか。
勧善懲悪とは異なる視点で一石を投じた本作ですが、
今回でいよいよ完結となります。
6年間の長きに渡る連載でしたが、
巻を増すごとに右肩上がりで増してゆくテンションには、
子供の頃に特撮ものを見ていたときの気持ちを思いだすかのような感じで、
毎回盛り上がらせてもらいました。
ラストバトルも単純な一騎打ちだけに終始することなく、
今までに登場したキャラが一同に集結したりと、
二転三転するため最後まで気が抜けません。
異色である一方でバトルものとしてド直球の熱さで、
読後はまさしく完全燃焼したって状態に。
一体何回目頭が熱くなったことやら。

中の人は人間なんだから悩みもするし葛藤もする。
こういう泥臭いヒーロー像もあってもいいと思うんだ。
しっかりと大団円で終わってくれましたし、
ありがとうとお疲れ様という気持ちでいっぱいです。
しかも最後を締め括る帯書きコメントがみつみ美里先生という・・・
犬威先生もこみパのオフィシャルコミック(カバー下では瑞希が!)とか、
更に遡るとPiaキャロ2のアンソロとか描かれてましたし、
まさに最後を締め括るに相応しいサプライズですね。


真のヒーローとは・・・
世間的には正義の味方という体面をしていても、
行動原理もそうとは限らない。
例え悪と呼ばれようとも行為は何も間違ってはいない。
そして英雄の血を受け継ぐ者が英雄であるとは限らない。
世の中のあらゆる事に通じる現実を浮き彫りにして、
ヒーローとは何か、正義とは何か、
既存の観念を根底から覆す命題にずっと考えさせられてきましたが、
本作なりに導き出された答えにもまた色々と思うところがありますね。

大切なものを守るために戦うとき、誰でもヒーロー足りえる。
身近な例で言えば家庭を守るために働く父親なんてまさにそれですね。
元々確固とした定義や唯一解なんてものは存在しないのだから、
人それぞれで考えが違うことなんて当たり前のこと。
しかし本作で提示されたそれは、
間違いなく模範解答足りえるだけの説得力を持ってますよ。
それは時として己の信念であり、恩義であり、好きな人であり。
暴走したラットマンを止めるために戦うために集結したヒーローたちは、
まさしくその名に恥じないものでした。

バトルものとして見ればまさに王道とも言える直球ぶりはやっぱり熱いですよ。
「倒す」のではなくて、「守る」ために戦う。
これだけの想いが一つになったのを見て、
修斗が今までやって来たことは間違っていなかったと思えますね。

もう、三枚目キャラのファットマンとかヤヴァイスも、
ギャグ要員だったジャッキー軍団も全員格好いいぜこんちくしょう!


想いはきっと伝わるもの。
バトルもさることながら、各々の心理描写も盛り上がります。
何はなくともミレアさん抜きには語れませんよ。
前回からして囚われの身になってたり、
今回も暴走のトリガーにされてしまう一方で、
心の底からの訴えで闇から引き戻す立役者でもある。
終始ヒロイン要素満載ですし、修斗とも・・・ね。
物静かなキャラが最後の見せ場で声を張り上げるシーンってたまらんよね。
ミレアさんは実にいい至高のクーデレキャラでした。
(中盤くらいで既にデレデレだった気もするけど)
ラスボスのシンもまた重い背景を持っていたキャラでしたが、
エピローグを見た感じではシャイニングマンだった父親に対して、
ある程度の心の整理が付いたようだし、
最終的に救われたってことでいいのかな。
ラストバトルからエピローグの間に何があったのかはわからないけど、
修斗の真っ直ぐな想いが伝わって、
自らを見つめ直す機会ができたと解釈しておきましょうか。
戦った相手、協力した相手、
皆の心を一つに束ねるに至らしめたラットマンはまさしくヒーローでした。

一から再スタートを踏み出した修斗は今後どんなヒーローになるんでしょうね。