金銭消費予定が際どい中で更なる消費のフラグが成立して計画は既に破綻している

昨日のやってもうた感が全力で漂ってた土産チョコ。
これくれたの誰ー?って話でそんな女の人いましたっけ?と、
少しはネタになったので一応買ってきた意味はあったかも。
昼間はベルナルドの訃報にマジか!?と思ったり。
キレテナーイのCMも懐かしい。
でもって定時後は秋葉原で昨日行けなかったぷちげまに。
ぁー、これはヤバい。
イラスト展の物販で1万くらい飛びそうだわ・・・
遅かれ早かれ画集は買うだろうし、
タペストリーも欲しいのが二つはあったし。
と、そんな週半ばですが五郎のお食事タイムも堪能したところで今週も残り二日。
後半戦もこれで戦える。

カヒーヲ一杯口シテミレバ文明開化ノ味ガスル 『ちろり』 1巻

ちろり 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

ちろり 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

長き鎖国の時代が終わり、開港によって繁栄した横濱の一角。
小さな喫茶店は今日も平常営業中でお客様をお待ちしております・・・

異国ノ風ニ触レテ帰省シタ後ニ行ツケノ店ニ立チ寄ッタラ、
新商品ガ販売サレテイタノデ、一ツ所望シテミタラ、
想像以上ニ素朴デ味ワイ深イモノデアッタ。
まさにそうした比喩表現そのままで、
全くのノーマーク枠から強力な一作が飛び出しました。
住み込みで働く店員とやって来る客との何気ない交流と、
大きな事件が起こるでもないごくありふれた時間。

この手の西洋文化が取り入れられた頃の話となると、
一般的な家庭にも普及が進み定着した大正時代がテーマになるのが通例。
昨年は大正100年だったこともあり、なおのこと。
が、あくまで文明開化の明治時代を選んだのが、
より一層ハイカラな感じがしますね。
一昨年前に開港150周年を迎えた横濱を舞台にしているのもまた然り。
作中で明記はされていないけれども、
カフェーが一般的になったのが明治末期〜大正にかけてですから、
だいたい1900年ちょうどくらいの時期なのかな。
現代であればごく当たり前の時間なのかもしれないけれど、
激動の時代において、こうした一時ってすごく貴重なものですね。
最近は仕事中に半分気付けの意味も含めてコーヒーを飲んでたりしますが、
たまにはこうした昔ながらの西洋情緒溢れるカフェーで
のんびりと一杯を楽しむこともしてみたくなってきます。


普段の日常を切り取った瞬間に輝く瞬間がある。
全体を通して見てみると台詞の数は少な目で、
何も考えずに見ただけではあっさりと読み終わってしまうところでしょう。
が、本腰を据えてじっくりと読み始めると、
瞬間ごとの静と動が緻密に描かれていて、
気が付けば日が暮れてしまうほどに入り込んでしまうほどの魔力が込められてます。
当人たちにとっては特に何も考えたりもしていない「いつものこと」でも、
見方によっては一挙一動が既に一つの映画のようですらあるのです。
一話目の時点からしてその全てが集約されていると言っても良くて、
ハマる人は思いっきり明治時代へと仮想トリップすることになります。
早めに起きた朝、ちろりの着替えと掃除のシーン。
手馴れた手つきで寝間着から着物へと着替える場面は、
見ているこちらさえも言葉を失ってしまうんですよ。

決してシーンがサイレントであるだけではなくて。
一つ一つの挙動の「間」が何とも言えない。
12〜3歳の現代ならばおよそ中学一年くらいと思われる少女が、
姿見を前に胸元はだけ、腋を見せ、ロリコン歓喜なシーンの筈なのに、
見ていてそうした下心ってものが沸いてこないんですよ。
ヌードも芸術作品となれば性的な感覚を超越するのに通じるものがありますね。
全体的に色気のある場面もサイレントな場面も演出上に無駄がありません。
そして読めば読むほど新しい発見があって深みが増す。
一話目のマダムにしても、唐突に登場したのではなくて、
ちろりが着替えを済ませて階下に降りるときに
確かに部屋から出てきてるのが描かれていたりするし、
さりげないフラグ立てさえもしている緻密さに心奪われるばかりです。


少女らしさと大人っぽさ、そして触れ合う人間味。
各場面に漂う空気や「間」のみならず、
それと同等なくらいに細かく描かれているのが人間描写。
変わらぬ日課で過ごす日々でも全く同じ日というものは存在せず、
常に何かしらの変化を伴ってやって来るもの。
未だ幼さ残る年頃の少女が見せる挙動や反応が見る者を楽しませてくれます。
夏場を迎えていつも着ている矢絣の着物ではなくて、
シースルー一歩手前の薄物を目の当たりにしたり、
実際に着てみたときの様子にグッとくるものがあるんですよ。

客前に出てお盆で思わず前を隠したりなんて挙動もまた然り。
衣装一つで一気にアダルティに見えるもんですね。

休憩しようとしたら一気に客がなだれ込んできて、
一しきり捌けたところですっかり氷が溶けてしまった飲み物を
疲れもそのまま洗い流すかのような勢いで一気飲みする様子とかも、
ごく自然な挙動なのにすごくくるものがある。

ほんの一部分を取り出してもこんななのに、
ほぼ全般的に渡ってこういう描写のオンパレードってぇんだから、
その衝撃たるや語り尽くせず実際に触れてもらいたいところ。
色んな意味でちろりと対称的なマダムとか、
各自それぞれの思惑を持ってやって来る客の心情や、
交流している様子なども非常に魅惑的なので、
隅々まで目を行き届かせてじっくりと時間をかけて再読したくなりますね。