心が読めると言うことは・・・ 『琴浦さん』 1巻

琴浦さん1 (マイクロマガジン☆コミックス)

琴浦さん1 (マイクロマガジン☆コミックス)

顔は悪くないのに疑り深いと自分では思っていて、
その正体はエッチな妄想が大好きなちょっと残念なスケベ・真鍋。
ある日、人の心が読めてしまう能力を持った少女・琴浦さんが転校してきて、
色々と興味を持っていくのだが・・・

どうやら帯書きによると元々Webコミック作品でありながら、
累計アクセス数400万超と言う鳴り物入りで登場した本作。
琴浦さんの可愛さや真鍋のスケベっぷりも十分見ごたえはありますが、
単なる超能力ものではなく、そういう能力を持ってしまったが故に
抱える事となってしまった悩みに正面から向き合っており、
ブコメ色も強い中で文字通り心からぶつかるヒューマンドラマが描かれています。
つい最近だと生と死を描いた薄命少女や家族の在り方を描いたまい・ほーむなど、
本当に4コマ作品に泣ける話が増えてきました。
Web連載だとどうしても普通に雑誌連載しているものと違って、
世間的に認知され難いものがありますが、
こんな風にすごい名作がたくさん埋もれているんだろうなぁ・・・
自分が見ている漫画ってのは本当に氷山の一角なんだと思い知らされます。


心が読めるからこそ抱く悩みの数々。
もし他人の考えていることがさも口に出していることのように聞こえてしまうとどうなるか。
答えとも言うべきものが初期の琴浦さんそのものではないでしょうか。
本人にとっては嫌でも聞こえてきてしまう、
聞かれた側にとっては口に出してもいないのに、
把握されることを気持ち悪いと感じて一歩距離を置いてしまう。
そんなことが繰り返された結果など容易に想像できるというものです。
本音でぶつかり合うことができなくなり、人付き合いも疎遠となり、
ならば最初から他人と関わり合いを持つことをやめようと。

いわゆる超能力の類を持った人間共通の悩みではないのかなと思います。
仮にメディアで取り上げられて有名になったとしても、
インチキだと噂されればあっという間に広がって、
世間から冷たい目を向けられたまま忘れ去られていって・・・

人間ってのは異質なものを珍しがると同時に異端扱いするものですからね。
第一部ではそんな他人を遠ざけるようになっていた琴浦さん
裏表なく接してくる真鍋や同じような悩みを持つESP研と触れ合うことで
次第に心を開いてゆく様子が描かれていて、
超能力を持っていると言う偏見を通り越して本心からぶつかる姿に涙します。

相手が何者であろうと同じ人間、
心からぶつかればきっとわかりあえるものなんですね。


偏見を持たない友を持ち、本当の笑顔を取り戻した後の琴浦さんの可愛いこと。
泣いて笑って怒ってと、実によく表情が変わります。

建前じゃない、本心からぶつかり合うことの大切さを描いた第一部に対し、
琴浦さんと真鍋の友達以上恋人未満の微妙な関係のラブコメ展開に発展する第二部は、
これこそ真・琴浦さんとでも言うべき魅力に溢れてました。
本編とはまた違ったショートエピソードの番外編や遊び心満載なおまけページも
その色々な表情に魅かれること請け合いです。
何と言っても本編を読む前と読んだ後だと印象が変わるのがおまけページです。
巻頭のキャラ紹介の次に出てくるもんですから、
直後に始まる第一部初期のどこか闇のある表情とのギャップがすごくてですね。
しかもおっぱゐマウスパッドときたもんですからなおのこと。
普通、この手のやつはおっぱゐの部分に特殊素材が詰まってるものですが、
漫画のおまけページと言うことは言うまでもなく平面。
それが意味することは・・・

嗚呼、ひんぬー気にする琴浦さん可愛いよ琴浦さん
つまりはひんぬーはステータスでありジャスティスであることの証明ってやつですねこれは。
でもってエロ妄想たくましい真鍋はいろいろと自重。

見ている側としてはよくやったと言いたいところではあるけれど・・・